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宇都宮徹壱ウェブマガジン

「メダルに届かなかった」結果は妥当か? 東京五輪の日本代表を総括する<1/2>

  本日8月26日、ワールドカップ・アジア最終予選の2試合(ホームのオマーン戦とアウェーの中国戦)に臨む日本代表メンバーが発表される。「金メダル」を目標に掲げながら、結果として4位に終わったU-24日本代表からも、何人かの選手がピックアップされることだろう。新たな戦いを前に、当WMとしては東京五輪での日本代表の戦いについて、あらためて総括することにしたい。

  もっとも今大会は、取材パスの数が極めて限られていたこともあり、私自身は1試合も現場で取材していない。当WMでは「コタツ記事は書かない」という不文律があるが、さりとて今回は57年ぶりとなる自国開催の五輪。そしてJFAは、今大会の目標を「金メダル獲得」としていた。今後の最終予選、そして来年のワールドカップ・カタール大会にも関わる話なので、可能な範囲での総括の必要性を感じていた。

  そこでお声がけさせていただいたのが、緻密なゲーム分析に定評のあるスタジオモナド代表取締役、五百蔵容(いほろい・ただし)さん。五百蔵さんは『砕かれたハリルホジッチ・プラン 日本サッカーにビジョンはあるか?『サムライブルーの勝利と敗北 サッカーロシアW杯日本代表・全試合戦術完全解析』といった名著でも知られている。

  業界には、いわゆる「戦術の論客」は少なくない。そんな中、五百蔵さんはピッチ上の現象の言語化に長けているだけでなく、客観的かつ怜悧な分析と血の通った批評にも定評がある。そんな五百蔵さんには事前に、以下の6つのテーマを共有させていただいた。

1)森保サッカーをわかりやすく言語化すると?

2)メダルに届かなかった日本代表をどう評価するか?

3)世界に通用したところと届かなかったところは?

4)「金メダル」という目標設定は適切だったのか?

5)今の日本代表は「ジャパンズウェイ」なのか?

6)カタール大会の日本はどこまで行けるのか?

  このうち「ジャパンズウェイ」については、昨年に私が執筆したこちらのコラムを参照していただきたい。本稿は東京五輪の総括だけでなく、ヴァイッド・ハリルホジッチ元監督が目指したサッカーとの意外な共通性、さらには来年のカタール大会での日本のマイルストーンにも言及している。東京五輪の記憶が薄れつつある今だからこそ、ぜひご覧いただければ幸いである。(取材日:2021年8月23日、オンラインにて取材)

<1/2>目次

*今大会の一番の成果は「デュエルで勝てていたこと」

*日本は「16チームの中で3番目か4番目のチーム」

*「リアクションサッカー」だった森保監督のスタイル

■今大会の一番の成果は「デュエルで勝てていたこと」

 ──東京五輪が閉幕して15日が経過しました。まずは今大会について、五百蔵さんはどんなスタンスでご覧になっていたか、教えてください。

五百蔵 実は一切、ライブ中継は見なかったですね。さすがにサッカーだけは録画して、後追いで見ていましたけれど。そもそも今回の東京五輪については反対の立場でして。

 ──そうだったんですか。理由は?

五百蔵 まず、招致の段階での「復興五輪」というのが欺瞞のように思えたんですね。被災地が東北なのに、なぜ東京で復興五輪なのか。そのことに違和感を覚えたのは、僕だけではなかったと思います。五輪開催が決まったのが、震災から2年後の2013年。復興に向けて、資材にしても人材にしても、どんどん被災地に投入しなければならない時期ですよ。にもかかわらず、東京の五輪施設建設や五輪を当て込んだ再開発の影響を、少なからず受けることになりました。

  加えて、このコロナ禍ですよね。去年、延期を決めた時に2年にすればよかったものを、政権の都合で1年になってしまいましたよね。結果として、適切な準備が進まないままに大会を開催することになってしまって、その間に感染爆発ですよ。おかげで僕も、楽しみにしていたPerfumeのライヴに行けなかったという実害がありました(笑)。 

──それは大きな損失でしたね(苦笑)。そうした中で行われた東京五輪に、JFAもかなり懸けていました。すなわち、このところ男女共に陰りがあった代表人気を、メダル獲得によって一気にファンの熱量を高めようとしていたわけです。しかし結果は、女子がベスト8で、男子がベスト4。特に男子に関しては、はっきりと「金メダル獲得」を目標に掲げながら、銅メダルにも届きませんでした。この結果については、どう捉えていますか?

五百蔵 そこが今回のテーマになってくるわけですが、結論からいうと「日本代表は成長している」と同時に「でも、これが妥当な結果」ということです。今回、宇都宮さんとお話するということで、五輪の6試合と今年の強化試合を全部見直しました。はっきり言えば、これまで見てきた日本代表の中で「最もいいチーム」だったと思います。

  今回の代表は、ヨーロッパで普通に試合に出ている選手たちが、重要なポジションでたくさん出てきましたよね。それはつまり、これまでの育成の成果がしっかり出てきているということです。これまで日本人選手は「テクニックがあってアジリティも優れているけれども1対1の局面が弱い」とされてきたじゃないですか。つまりハリルさんがずっと指摘してきた「デュエル」の部分です。そこが今大会では、しっかり勝てていた。

 ──確かにそうでしたね。これものちほどテーマになってきますが、つまり「日本人の特性を伸ばして世界に打って出る」としていたジャパンズウェイとは、かなり違った印象のサッカーをピッチ上で表現していました。

五百蔵 今回の日本代表のサッカーを、わかりやすく言語化すると、こうなります。

1)守備の強度を上げ、ハイプレスやミドルプレスで相手の攻撃をコントロールする。

2)相手が攻撃から守備に転じる時、どこにスペースができるかということをチームとして事前に共有してポジション取りをする。

3)ボランチの田中碧や遠藤航から縦に速いボールが入る。

4)堂安律や久保建英といった、テクニックとスピードのある選手たちが得点する。

 実はモウリーニョとかハリルホジッチみたいな、しっかり守って速くてバーティカル(垂直的)な攻撃をするサッカーだったと思います。選手たちも、自分たちが何をすればいいかをわかっていて、試合を重ねるごとに完成度も上がっていきましたよね。

  おそらく森保さんに対して、JFAは「日本らしい組織的なサッカーで金メダルを獲得すること」を期待していたと思うんです。そのオーダーに応えながら、森保さんは自身の代表で従来こだわってきた「選手に考えさせる」余地も残しつつ、かつ勝負にもガチガチにこだわっていたように見えます。それらが、ちょうどいいバランスになっていたと思います。

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