宇都宮徹壱ウェブマガジン

持ち帰る勝ち点は「3」以外にあり得ない 楽観しつつも引き分けが許されない中国戦

 最初にお断りしておく。本稿を書いているのは、9月7日の午後。その日のうちに入稿する予定なので、ワールドカップ・アジア最終予選、中国vs日本の内容については基本的に反映されていない(結果については「付記」として言及しておく)。試合が行われるのは、カタールの首都・ドーハ。コロナ禍でのホーム&アウェー方式ということで、中国は中立地でのホームゲーム開催を選択することとなった。

 今回の中国戦は、私を含めてほとんどの同業者が現地での取材を断念せざるを得なかった。私は2006年のドイツ大会から、4大会連続で日本代表のアジア最終予選を取材してきたが、少なくとも年内いっぱいはアウェーでの取材は難しいだろう。となるとファンの皆さんと同様、われわれもこの試合をDAZNで視聴するほかないのだが、さりとて「コタツ記事」をここで書くつもりもない。

 カタールから持ち帰る勝ち点数で、今後の日本代表がどう変わっていくのか──。それが、本稿のテーマである。先に結論を申し述べておくと、森保一体制が維持されるためには、勝ち点3が必須である。つまり、中国に勝利するしかない、ということだ。逆に言えば、敗戦はもちろん、ドローであっても指揮官交代は避けられないだろう。 

 もうひとつ結論めいたことを述べると、フラットに見れば「中国はそれほど怖くない」ということだ。過去の対戦成績は、日本の13勝7分け7敗で、最後に敗れたのは1998年3月7日に東京で行われたダイナスティカップ(0−2)。21世紀に入ってからは、EAFF E-1を含めて一度も中国に負けていない。イングランドやブラジルからの帰化選手が話題になっているが、チームにフィットしていなければ脅威となり得ないだろう。

 中国にアドバンテージがあるとすれば、それはコンディションである。中国は最終予選の初戦を、同じドーハで終えており(オーストラリアに0−3で敗戦)、現地の時差と気候にはすでに順応済み。対して日本は、9月3日に現地入りして、トレーニングは3日間のみ。こんなことなら、オマーンとの初戦も会場をドーハにしておけばよかったと思うのだが、今となっては後の祭りである。

 いずれにせよ、コンディションでは多少のハンディがあるものの、お互いに初戦を落としているプレッシャーは同じ(むしろ向こうの方があるだろう)。加えて中国に対しては、イランや韓国のような苦い記憶はない。むしろ、完全アウェーだった2004年のアジアカップ決勝に3−1で勝利するなど、いいイメージしかないくらいだ。それだけに、もし日本がこの試合で不覚をとれば、オマーンでの敗戦以上の痛手を被ることになる。

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