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「川越市からJを目指す!」90年代生まれの経営者たち 現在「11部」COEDO KAWAGOE F.Cの挑戦<2/2>

「川越市からJを目指す!」90年代生まれの経営者たち 現在「11部」COEDO KAWAGOE F.Cの挑戦<1/2>

<2/2>目次

*川越市リーグ2部でもホームタウン活動年間50回!

*なぜクラブトークンで1500万円を調達できたのか

*5年後は「他クラブから真似されるロールモデルに」

川越市リーグ2部でもホームタウン活動年間50回!

──クラブを立ち上げてから、わずか3カ月で運営会社を立ち上げた理由について、有田さんが「僕らの本気を示したい」と語っていたのが印象的でした。Jを目指す地域リーグでも、すべてが法人化されていたわけではない中、COEDO KAWAGOE F.Cの本気度は確かにすごいと思います。現在、社員はおふたりを含め何人ですか?

有田 4人です。あとの2人は選手との兼任ですね。

──4人で会社を回していくというのは、ただでさえ大変なのに、選手兼任の2人を教育していく必要もあるわけですよね?

中島 もちろんです。大変ではありますけれど、やっぱり新卒なのですごく素直ですし、入ってからかなり伸びているなというのは思います。たとえば新卒でJクラブに入ったのに、しんどくなって辞める人って実際に少なくないんですよ。僕らの場合、組織も経営者も若いので、挑戦的でありながらも人が育つ文化を作っていきたいと思っています。

──平日は社員としての業務があり、週末に試合。さすがに川越市リーグは取材したことがないのですが、どんな感じなんでしょうか?

有田 試合会場は、安比奈グラウンドというところで、要するに河川敷にある土のグラウンドです。雨が降ったら中止。週末のお父さん方が趣味でされているサッカーvs僕たちなので、基本的には80くらいのスコアになることが多いですね。お客さんは、家族とかも含めて50名くらい。試合を重ねるごとに、数は伸びているという実感はあります。

──とはいえ、そこからJリーグというのは、相当な距離感ですよね。それなのに、COEDOには元Jリーガーもいれば、マルタリーグでプレーしていた選手もいます。トップリーグから数えて11部のクラブに、なぜそれほどの人材が集まってくるんでしょうか?

有田 去年の11月にセレクションを開催したら、50人くらいの応募があって、実際に入団したのは20人くらいです。クラブが目指すものを全員が理解してくれたから、市リーグ2部のウチに来てくれたんだと思っています。こういう環境の中、みんな本当によくやってくれていると思います。試合や練習はもちろん、ホームタウン活動についても。今年は50回の実施を予定したんですが、見事達成しました。選手も協力して、本当にチームとして街と共に成長していく、そういう強い意志をもって、クラブ運営をしています。

──50回はすごいですね。具体的には、どういった活動を予定していますか?

中島 まず、明治安田生命さんと一緒に、サッカー教室を開催しています。この間も、鶴ヶ島周辺の少年団と一緒にサッカー教室をやって、100人くらいのお子さんに参加していただきました。それと毎月2回、川越市全域の清掃活動もやっています。

 単なる話題づくりだったら、観光地である「時の鐘」あたりを掃除すればいいんでしょうが、僕らはぜんぜん人がいない場所もきれいにするようにしています。僕らの活動を通して、川越に夢と感動を創出できる活動ができているのか? 常にその視点で意思をもって、ホームタウン活動を運営しています。

有田 川越市って、けっこう広いんですよ。県内の人でも、川越駅周辺しかイメージないかもしれないですが、東武東上線の霞ヶ関駅も川越市です。そういったところにまで、きちんとリーチしていくようにしたい。われわれのホームタウン活動は、認知度を高めることが目的ではありません。そうした下心ではなく、川越という街の地域課題を解決したいという思いでやっています。

中島 もちろん、サッカー教室や清掃活動だけではありません。たとえば地域の農業についても、川越市は農業従事者の人口が少しずつ減少しているんですよ。そこでわれわれのクラブとタッグを組むことで、地域の農家について地元の高校生に知ってもらうための講演を企画する。地元の私立高校ともパートナー契約を結んでいますので、そういった活動も地域の盛り上げにつながっていくと考えています。

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