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宇都宮徹壱ウェブマガジン

東京パラでの「レガシー」はパリに生かされるのか? ブラサカ日本代表、高田敏志前監督に訊く<1/2>

 本題に入る前に告知から。2021年最後のハフコミウェビナーを12月13日20時に開催することとなった。ゲスト講師は、株式会社ジェブエンターテイメント代表の田邊伸明さん。今回はYouTube Liveでは公開せず、会員以外の方はチケットでご参加いただく形にした。講師とは直接お話はできないものの、田邊さんのお話を2時間たっぷり聞けるチャンス。ご興味がある方はぜひ、こちらをご覧いただきたい。

 さて、2021年も残り3週間となった。仕事納めまでに少し間はあるが、今年を振り返る企画を、当WMでも順次出していくことにしたい。今週、取り上げるのはブラインドサッカー。ゲストとしてご登場いただくのは、東京パラリンピックに出場した、ブラサカ日本代表の高田敏志前監督である。周知のとおりブラサカ日本代表は、パラリンピック初出場ながら、フランスとスペインに勝利して5位という成績を収めた。

 目的としていたメダル獲得には至らなかったとはいえ、ブラサカ日本代表は大会を通じて大いに注目を集め、3年後のパリ大会に向けてさらなる飛躍が期待されるようになった。ところが大会後、なぜかブラサカの話題はぱったりと途切れてしまった。9月30日に高田監督の退任は発表されたものの、新監督やスタッフなどの新体制がどうなるのか、パリ大会に向けて始動したという話も聞こえてこない。

 今回のインタビューで明らかにしたいのは、パラリンピックに向けた準備やコロナ禍での対応ばかりではない。今大会で日本ブラサカ界が獲得したレガシーが、3年後のパリ大会に受け継がれているのかについても、きちんと高田さんに確認しておきたかった。その答えは、本稿の中にある。今年の夏、ブラサカ日本代表の活躍に感動した方には、ぜひお読みいただきたい。(取材日:2021年11月9日@東京)

※TOP以外の写真はすべて高田敏志氏提供

<1/1>目次

*スペイン戦での黒田のゴールは「ミラクル」にあらず

*「失点をGKだけの責任にしても何も解決しません」

*実はブラサカでも重要な「フットボールの原理原則」

スペイン戦での黒田のゴールは「ミラクル」にあらず

──今日はよろしくお願いします。このところ、あちこちで講演会が続いていたようですね。どういったところに呼ばれて、どんなお話をされていたのでしょうか?

高田 呼んでいただけるところは、いろいろです。先週は35歳以上の起業家や経営者の方向けの団体で、その前は某大学での授業でゲストに呼ばれました。明日はブラインドサッカー協会のスポンサー企業なんですが、パラリンピック後に社長にご挨拶したら「ぜひ、ウチの社員に向けて話をしてほしい」と。講演会の内容としては、パラリンピックに向けての強化やマネジメントの部分ですね。あと、本業の経営と監督業とのワークバランスについては、学生の関心が高かったです。

──パラリンピックが終わった後、これほどブラサカに注目が集まって、高田さんに講演依頼が殺到することを予測されていましたか?

高田 いや、ぜんぜん思わなかったですよ。NHKさんが予選リーグから中継していただいたことで、それなりに反響が大きいだろうなとは思っていました。ご無沙汰していた人から連絡があったり、僕の会社のお客さんから「見てたよ」って言われたり。それはそれでうれしかったですけれど、そもそもブラサカを知らない人のほうが世の中には多いわけで、そのための強化や準備の話に需要があるとは思ってもみなかったですね。

──いちおう私は、2010年からブラサカをウォッチしていますけれど、当時と比べると明らかにメディアの露出は増えましたし、競技の認知度も上がったと思っています。残念ながら、目標としていたメダルには届きませんでしたが、それでもフランスやスペインに勝利したインパクトって、それなりに大きかったのではないでしょうか?

高田 それはあるでしょうね。僕自身、メダルを獲得できなかったという点では、結果には満足はしていません。それでも世界ランキング13位の国が、予選免除でパラリンピックに出場した場合、だいたい1勝もできずに終わると思います。それが初戦で40で勝利して、しかも相手がロンドン大会銀メダルのフランスでしたからね。ウチのグループは日本以外、過去にメダルを獲得した国ばかりです。それを踏まえて準備をしてきましたから、そういう部分で関心を示す人たちがいたということでしょうね。

──決して「奇跡が起こった」という話ではないんですよね。スペイン戦での黒田(智成)選手のボレーによる決勝点も、神がかっていたように見えて、実はちゃんとロジカルに説明できるということですが。

高田 すべては練習でやってきたことです。黒田のゴールはまず、川村(怜)のクロスボールが素晴らしかった。佐々木ロベルト泉が相手の7番のマーカーを引き出す動きも良かった。それで壁の間にボールを浮かせた時、ダミーで動いて黒田のマーカーをずらした田中章仁もすごかった。相手の陣形を見て、そのセットプレーの選択しコンビネーションを指示した、ガイドの中川(英治)さんも素晴らしかったんです。

──すべてがピタッとシンクロしていたんですね。

高田 そうです。いずれも普通のサッカーと同じことを、彼らはブラサカで実現しました。しかも「できない」とは言わず、何度も繰り返し練習してきて、それであのゴールが生まれた。ですからあれは、ミラクルではなくロジカルなゴールです。

──なるほど。高田さんはもともと、ブラサカになかった考え方やメソッドを導入することで、イノベーションを起こしたと認識しています。だからこそ、パラリンピックが終わって随分と経つのに、引きも切らずに講演の依頼があるわけじゃないですか。そこで気になるのが、高田さんが残したものが、次のパリ大会に向けて生かされるかということです。まず、監督退任後の引き継ぎについては、いかがでしょうか?

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