宇都宮徹壱ウェブマガジン

クリアソン新宿のクラブ代表とキャプテンが語る 関東リーグと地域CL、そして入れ替え戦<1/2>

 先週の日曜日、天皇杯の準決勝が行われ、ファイナリストは大分トリニータと浦和レッズに決まった。今年の決勝は元日ではなく、12月19日。その前日に、JFL下位2チームと、地域CL上位2チームによる入れ替え戦が行われる。カードは、FC刈谷vsクリアソン新宿@名古屋、そしてホンダロックSCvsFC伊勢志摩@延岡。「天皇杯決勝と被ったらどうしよう?」と思っていたが、何とか両方取材できることになって胸をなでおろしている。

 すでにご承知の方も多いと思うが、今回の入れ替え戦はJFLにかなり有利なレギュレーションとなっている。試合はJFL側の1発勝負。90分で同点の場合、15分ハーフの延長戦を行い、それでも同点であればJFL側の残留となる。とりわけ「地獄」と言われた関東リーグを奇跡の11連勝で優勝し、初めて挑んだ地域CLでも見事に優勝したクリアソン新宿にとり、この1試合で敗れたとなれば目も当てられない。

 今週は、この土曜日に開催される入れ替え戦に向けての特別企画。クリアソン新宿の丸山和大代表、そしてキャプテンの井筒陸也選手に登場していただく。このクラブについては、これまでにも取り上げてきたが、残念ながら今季のレギュラーシーズンは取材していない。そこでおふたりには、今季の関東リーグと地域CLを振り返りつつ、FC刈谷との入れ替え戦についても語っていただいた。(取材日:2021年12月1日@東京)

<1/2>目次

*今年の地域CLを制した「意識が高い」クラブ

*なぜ東京23FCには今季2敗を喫したのか?

*関東リーグ11連勝&初優勝の要因は何か?

今年の地域CLを制した「意識が高い」クラブ

──あらためまして地域CL優勝、おめでとうございます。この後、FC刈谷との入れ替え戦がありますが、まずは地域リーグのチャンピオンとなった率直な感想をいただけますか?

丸山 1勝1分けで迎えた決勝ラウンド3日目、僕らは1試合目だったじゃないですか。そこでFC徳島に勝ち切ることができ、その時点で入れ替え戦に出場できることが決まったのはよかったです。僕らがあとの試合で、勝利が絶対条件という状況だったら、そこで喜びすぎてしまった可能性はあったと思います。結果的に地域CLで燃え尽きることなく、次の戦いに向けてすぐに気持ちを切り替えられたのも、結果的によかったと思います。

井筒 地域CLに初出場で初優勝できたこと、それも東京の西が丘で観客を入れて達成できたことは、クリアソンの歴史の中でもシンボリックな出来事だと思います。この2年間、われわれだけでなくサッカー界全体が、コロナ禍の影響で我慢に我慢を重ねてきました。その延長線上での優勝でしたから、その意味でも強く印象に残りましたね。

──今回の地域CL優勝、その前の関東リーグで11連勝する以前から、クリアソンのメディア露出はかなり増えている印象を受けています。この点についてはいかがでしょうか?

丸山 宇都宮さんのおかげですね(笑)。戦略的な話をすると、去年までは組織内部を固めることに多くの時間を割いてきました。今年はそれをどう外部に発信していくのか、というところに積極的にチャレンジしていきました。実際のところ、僕らの組織のあり方ですとか発言ですとか、サッカー界からするとちょっと違和感を覚える向きはあると思うんです。「そんなに甘い話じゃないよ」みたいな。

──確かにそうですね(苦笑)。

丸山 そうした中でも、このクラブの可能性を見出してくれる方々が、われわれに取材していただいて記事にしていただきました。これは僕の中で持っている感覚ですが、しっかりと作り上げてきた土台がまずあって、それがここに来てメディアを通して広がっているという印象です。この一年で、われわれの認知度が大きく変わったと思っています。

──井筒さんは、普段のお仕事はPR担当ということで、特に意識したことはありますか?

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