宇都宮徹壱ウェブマガジン

ハミングでのチャントと「ライト」への対応 2022年のJリーグ観戦について思うこと

 12月に入り、来季についてあれこれ考察するコラムが続いている。先週はカズの去就について、先々週はオミクロン株の影響について書いた。ちょうど昨日、2022年のJリーグの日程も発表されたので、今週は来季の観戦環境について、個人的に思うことを記すことにしたい。

 今週日曜日に国立競技場で開催された、浦和レッズと大分トリニータによる天皇杯決勝。試合内容の素晴らしさについてはこちらに書いたとおりである。それと同じくらい感銘を受けたのが、スタンドの風景が「コロナ以前」に戻る道筋が確認できたこと。ビジター席の復活、大旗やマフラー振りの解禁、そして入場者数の上限撤廃。今年の緩和プロセスの総決算が、この天皇杯の決勝だった。

 来季のJリーグについて村井満チェアマンは、11月1日の会見で「感染状況を見極めた上で、できる限り100%の観客を迎えることを目指したい」と述べている。まだオミクロン株が発見される以前の発言だが、Jリーグとしては緩和プロセスを大幅に後退するつもりはなさそうだ。ただし、完全にコロナ以前の状況に戻るには、まだまだ時間がかかりそうなのも事実。少なくとも、マスク着用での観戦と声を出す応援の禁止、この2点については来季も続くことになると考えるべきだろう。

 ところで天皇杯決勝の前日、名古屋港でのFC刈谷とクリアソン新宿との入れ替え戦を取材した際、ピッチ外で興味深い発見があった。刈谷のゴール裏から、耳馴染みのあるチャントのメロディが聴こえてきたのだ。それは、録音されたものでもなければ、もちろん声を出してのものでもなく、何とハミング! 飛沫を出さないように、刈谷サポは「ん~ん~んんんんんんん~」とこちらのチャントを吟じていたのである。

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