宇都宮徹壱ウェブマガジン

なぜプレミアリーグでウクライナ国旗が掲出されたのか 「3.11」が近づく中で思い出される11年前の光景

 本題に入る前に、先週末に発表した #ウチ壱「ウチのスタグルが一番!」について触れておきたい。当WMでは昨年、#ウチ壱「ウチのマスコットが一番!」として、毎月マスコットの写真を集めていた。「なぜ今年は、マスコットではなくスタグルの写真?」と思われる方もいらっしゃるかもしれないので、あらためて説明しておこうと思う。

 実は昨年に続いて、マスコット写真を募ることも考えていた。ただし今年も、コロナ対策でグリーティングが制限される可能性が高く、遠めの写真しか集まらないことは容易に想像できた。加えて投稿者が限られていることや、テーマとなるマスコットによって応募数の差が激しいことなど、いろいろ悩ましい問題も抱えていた。

 そこで、新たなアイデアとして浮上したのがスタグル。スタグルであれば、自分で買ったものをベストなアングルから撮影することができる。毎月のお題も「カレー」や「麺類」や「揚げ物」といったものであれば、どのクラブのサポーターでも無理なく参加できることだろう。そして「ウチのスタグルが一番!」と自慢し合うことで、アウェーのスタジアムに行く楽しみも増えるかもしれない。

 加えてもうひとつ、強調しておきたいことがある。それは、当企画が目指しているのが《サポートクラブの垣根を越えた交流が生まれること》であり、かつてのJ’s GOALのように《地域やカテゴリーを越えた「サッカーファンの広場」に育てていきたい》と考えていることだ。そこでまずは、定番メニューである「カレー」からスタート。上手く軌道に乗れば、別のメニューも展開していきたい。そんなわけでWM会員はもちろん、会員でない方も奮ってご参加いただければ幸いである。

 さて、本題。今年も「3.11」の季節がめぐってきた。2011年の東日本大震災発生から早いもので11年。今年の3月11日は、あの時と同じ金曜日である。当WMでは毎年この時期、震災関連のコンテンツを掲載してきたが、今年はコラムという形で個人的に思うところを記したいと思う。

 気のせいだろうか、今年は例年に比べて震災関連の報道が少ないように感じる。いや、たぶん気のせいではない。昨年が10年という節目の年だったことも、多少は影響しているのだろう。だが、それ以上に思い当たるのが、2週間前から始まったロシア軍によるウクライナ侵攻。2022年に起こった戦争は、それまでニュースのヘッドラインを独占していたコロナ禍関連の報道を脇へ追いやってしまった。こうなると11年前の震災の報道が、まったく影響を受けないはずがない。

 震災発生時、私は45歳だった。あと半世紀も生きられないだろうから、今後これ以上のカタストロフィを目の当たりにすることはないだろうとタカをくくっていた。だが、甘かった。未知のウイルスが地球規模で広がり、世界中で移動や外出できなくなるという、SFのような世界線が目前に出現。その未曾有の危機も、ようやく収束が見えてきたと思ったら、今度は第三次世界大戦に発展しかねない戦争である。立て続けに起こった2つのカタストロフィは、震災の記憶に急速な風化を促していくこととなった。

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