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野々村チェアマンは「声出し解禁」にどう向き合うのか? 「フットボールと社会連携」の前に直面する課題を考える

 3月15日、野々村芳和氏の第6代Jリーグチェアマン就任が正式に発表された。

 15時にオンラインで行われた会見では、てっきり村井満前チェアマンが退任の挨拶をすると思っていた。しかし画面に現れたのは、刷新されたチェアマンと理事(常勤および非常勤)がズラリと並ぶビジュアル。少し寂しさも感じたが、新体制のスタートとしては悪くない演出だったと思う(あるいは前チェアマンが「新しい人たちで」と希望したのかもしれない)。

 いずれにせよJリーグの新体制が、われわれの目の前に現れることとなった。野々村チェアマンの質疑応答、そして新任理事の抱負スピーチ。いずれも30年の節目を迎えるJリーグに相応しい、大きな期待を抱かせるものに感じられた。そんな中、新チェアマンの言葉で印象的だったのが「フットボールと社会連携」。この2軸で、新体制は始動するようだ。

 思えば8年前、村井体制がスタートした際に打ち出したのが「5つの重要戦略」(魅力的なフットボール、スタジアム整備、デジタル技術の活用、国際戦略、経営人材の育成)。5から2に減ったようにも見えるが、新しい理事の顔ぶれを見る限り、デジタル技術の活用や国際戦略が外れることはなさそうだ。「5つの重要戦略」は踏襲しつつ「フットボールと社会連携」を進めていくという理解で間違いないだろう。

 言うまでもなくJリーグの本質はスポーツの興行であり、初めて元Jリーガーがチェアマンに就任したのだから、フットボール(つまり競技面)を重視するのは当然の話。一方の社会連携については、前体制では当初なかったものだ。2018年のJリーグ25周年の際、当時の米田惠美理事が打ち出した「Jリーグをつかおう!」が、現在のシャレン!(すなわち社会連携)につながっている。フットボールと同じくらい、新チェアマンがシャレン!を重視していることは、今後も個人的に注目していきたいポイントである。

 さて本稿では、野々村チェアマンが直近で向き合うであろう課題について、考察することにしたい。それは何かといえば、スタジアムでの「声出し解禁」。新型コロナ対策によるリモートマッチからスタートして、2年をかけて入場者数の上限を緩和しながら、手拍子やタオルマフラーや大旗も解禁されていった。残るは、声を出しての応援である。

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