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南葛SCを大型補強だけで語るなかれ 社員選手・楠神順平の一日<1/2>

 3月14日、都内にて関東リーグ1部所属、南葛SCのキックオフカンファレンスが開催された。南葛といえば今オフ、関口訓充、稲本潤一、今野泰幸、伊野波雅彦といった元日本代表選手が、相次いで加入して話題を集めた。ハーフウェイクラブに元日本代表が加わるケースは、過去にもなかったわけではない。けれども、ワールドカップ経験者3人まとめて加入したというのは、南葛が初めてである。

 カンファレンスの質疑応答でも、ワールドカップ戦士たちへの質問が集中していた。メディアとしては当然の対応であろう。とはいえ、南葛SCというクラブを単に「大物選手をかき集めた金満クラブ」と評するのは早計である。今季の南葛の所属選手は、なんと35名。このうちの6割を占める、21名の「社員選手」の存在こそ、南葛というクラブの本質が凝縮されていると考える。

 今回は南葛に所属する、ひとりの社員選手にフォーカス。背番号11のMF、楠神順平である。今年35歳となる楠神選手は、滋賀県立野洲高校の選手権優勝メンバーの一員で、同志社大学を経て2009年に川崎フロンターレでプロデビュー。以後、セレッソ大阪、サガン鳥栖、 ウェスタン・シドニー・ワンダラーズFC(AUS)、清水エスパルス(途中、モンテディオ山形)でプレーしている。

 そんな彼が2020年に移籍したのが、東京都1部だった南葛SC。J1の清水から都1部への移籍は、カテゴリーを6つ落とすことになり、当時としては非常にインパクトがあった。さらに注目すべきなのが、楠神選手はプロ契約ではなく、最初から社員選手として契約していること。佐々木竜太と石井謙伍、そして楠神の3選手が、南葛の社員選手「オリジナル・スリー」なのである。

 今回はクラブのご配慮により、南葛SC社員選手・楠神順平の一日に密着させていただくことになった。まずはフォトギャラリー形式で、同行取材の模様をレポート。その「答え合わせ」として、楠神選手と岩本義弘GMへのインタビューをお届けする。南葛のファン・サポーターはもちろん、Jリーガー時代の楠神選手を知る皆さんにも、ぜひご覧いただきたい。(撮影日:2022年2月24日)

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この日は晴天。南葛SCのクラブオフィスは、京成立石駅から徒歩15分。いかにも下町らしい町並みが並ぶ。

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こちらがクラブのオフィス。隨分と立派な建物だと思ったら、某企業の独身寮を譲り受けたのだそうだ。

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オフィスは引っ越しをしたばかり。ずらりと並んだ机のひとつで、今日の営業の準備をする楠神選手を発見。

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11時に最初のアポイントメント。今季から加入した、元セレッソ大阪の秋山大地選手と駅前のドトールに向かう。

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名刺交換をしてから商談開始。先方の営業マンは大のサッカー好きらしく、ずっとリスペクトの眼差しを向けていた。

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午前の商談のあと、近所の惣菜屋さんで650円のサバ味噌煮弁当を購入。お金よりも時間を節約している印象。

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ランチの間、午後の案件について語り合っていた両選手。12時40分、秋山選手の運転で午後の営業がスタートする。

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13時、葛飾区立立石図書館で打ち合わせ。内容は、南葛の選手が登場するイベントについて。地域連携もまた、社員選手の重要な業務のひとつだ。

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15時、区立中央図書館にて、今度は絵本の読み聞かせの練習。現役のサッカー選手に絵本を読んでもらえる子供たちが羨ましい。

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16時、営業と打ち合わせが終了。「練習まで時間があるよね」ということで、区内にある3軒の銭湯を訪れて、今季のポスターを手渡す。

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最後は「下町パートナー」の生花店を訪れて、キャプテン翼のバナーを届ける。かくして、今日の外回りはすべて終了。

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練習までの間、コメダ珈琲にてメールチェック。ひとつひとつを返信してから、営業先で出会った方々にお礼のメールを送る。

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