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ベトナムはなぜ、U-23アジア選手権で準優勝できたのか? 「英雄」パク・ハンソが導いた大躍進【「ベトナムフットボールダイジェスト」宇佐美淳氏インタビュー<1/3>】(無料記事)

守備の意識改革で、「FIFAランク100位」の公約も達成

──具体的には、どんな変化をもたらしたのですか? はっきりと戦い方が変わったんでしょうか。

宇佐美 目指しているサッカーは基本的には三浦俊也監督(2014年から2016年にかけて約1年半、ベトナム代表監督を務めた)に近いものがあると思うんですが、「ハードワーク」がベースです。ただ、パク監督のサッカーもすぐに機能したわけではありませんでした。就任直後の時期に行われたアジアカップ予選のアフガニスタン戦などは、ホームで一方的に攻められてなんとか引き分けに持ち込んだ、という内容。その時は、かなり叩かれていましたからね。その後、タイで行われた「M-150カップ」(2017年12月に開催された国際大会。U-20日本代表も参戦し、「森保ジャパン」の初陣として日本でも報道された)である程度手ごたえをつかんだ感じがあって、今年1月のU-23アジア選手権につながったという感じです。

──U-23アジア選手権での準優勝は、本当にアジア中を驚かせたと思います。宇佐美さんとしては、これは予想できた結果でしたか?

宇佐美 さすがに、アジアでの準優勝までは予想できませんでした。この大会でのU-23ベトナム代表はガチガチに守備をする戦い方で、それがハマった感じでしたね。この大会を通して、選手たちの中でも「守備の意識」に改革があったんじゃないかと思っています。

──今回のスズキカップでもグループリーグでは4試合無失点でしたし、以前に比べて守備面の安定を感じました。もちろん東南アジアレベルではベトナムはポゼッションをすることも可能なわけですが、決勝戦のファーストレグ、マレーシアでの一戦などは両サイドハーフが下がって、多くの時間を5バックで戦っているように見えました。

宇佐美 基本システムは3バックなんですが、中盤の両サイドがけっこう下がってくるので5バックになっていることも多いです。アウェイのマレーシア戦は終始ボールを持たれる展開となったので、たしかに完全に5バックでしたよね。パク監督になって簡単に失点することが少なくなったので、それが結果につながっているのだとは思います。就任会見でパク監督は、その時点で120位前後だったFIFAランキングを「100位に押し上げる」と宣言したのですが、今年11月のランキングで100位となってすでにその公約も実現しましたから。

──短期間で次々に結果を出していったことで、この「英雄扱い」があるのですね。

宇佐美 ベトナムの場合、結果さえ出ればこうなるんです(笑)。

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