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アジア20カ国でプレーした「アジアの渡り鳥」が、タイ・バンコクを拠点に描く新たな夢「チャレンジャス・アジア」とは?【伊藤壇インタビュー<1/2>】(無料記事)

バンコクはアジアに挑戦する日本人選手たちの最高の拠点となっている

関わった選手は100%の確率で契約させたい

──選手の特徴によってこの国が合っている、このリーグが合っている、といったこともあるのですか?

伊藤 あります。もちろんまずは選手の実績やレベルといった要素がありますが、環境への適応力なども判断材料になります。ざっくり言えば、東南アジアか南アジアかというところがまずは大きな違いですね。この二つの地域は生活環境に大きな差があって、僕の感覚だと東南アジアの10倍きついのが南アジアです。南アジアも金銭面の待遇は悪くないですし、レベルもそれほど低くないですが、食べ物の面などで生活に適応できるかという問題がある。一方で東南アジアの国は日本食も豊富にありますし、日本人が住むにはとても快適な環境と言えます。その中でもタイのバンコクは日本人にとって一番住みやすい場所ですから、「ここでダメなら、どこに行っても無理だよ」という意味もありますね。

──たしかに南アジアやヨーロッパなど他の地域から東南アジアに移ってきた日本人選手たちからは、「東南アジアの環境は天国」といった声をよく耳にします。そのなかでも日本人にとって最高の生活環境が整っているバンコクを「一次審査」の場としているわけですね。

伊藤 はい。バンコクでダメなら他に行っても絶対にやっていけない、ということははっきりと伝えています。話を盛っても仕方ないですから、選手たちにはなんでもストレートに現実を伝えるようにしています。お金の面でも、日本でそれほど実績のない選手に対しては「最初からお金を稼ごうとは思わないでくれ」と言っています。日本で一銭も稼げていない選手が、アジアに来たからと言っていきなり大金を稼げるということはありえないので。プロの舞台に立つところまでは力になれますが、そのあとは自分で結果を残してのし上がっていくもの。アジアに来ることによってまずはアマチュアからプロにカテゴリーを上げて、そこから徐々にステップアップしていってほしいと思っています。

──「チャレンジャス・アジア」に参加しているのは、どんなキャリアや年齢の選手が多いのですか?

伊藤 いろんな選手がいます。Jリーグでプレーしていた選手もいればアマチュアの選手もいますし、アジアのリーグでのプレー経験がある選手もいれば初挑戦の選手ももちろんいます。正直、僕自身がメディアに出るようになってからは、日本人、外国人、なかには初心者みたいな人も含めて本当にいろんな選手から連絡をもらうんです。現実的に全ての選手をさばくことはできないので、よほど日本での実績があったり友人からの紹介であったりしない限り、まずはバンコクに来てください、と。正直、この活動で生計を立てているわけではないので、100人来ようが200人来ようが、1人、2人であろうが人数は関係ない。大事にしているのはパーセンテージで、関わった選手は100パーセントの確率でチームを決めたいと思っています。

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