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東南アジア最大のライバルをホームに迎えた「西野タイ」の船出はスコアレスドロー【タイ代表W杯予選レポート/2次予選①ベトナム戦(H)】

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ティティパンを最前線に配する秘策

「タイ人のフォワードが育たない環境が、タイリーグにはあると思う。そういうなかで、ストライカーを探すのは非常に大変でした」

ワールドカップ・アジア2次予選初戦のベトナム戦前日会見で、タイ代表を率いる西野朗監督はそう語った。「T1(タイリーグ1部)では、だいたいセンターフォワードが外国人。タイの有望な若い選手、あるいは経験のあるストライカーもみんな横のポジションに置かれてしまっている」。実際、今季の得点ランキングを見ても1位から14位までがすべて外国人選手で、西野監督が代表に初招集した19歳のアタッカー、エカニット・パンヤーの8得点がタイ人選手としては最多の数字だ。

加えて近年のタイ代表でフォワードの軸となってきたティーラシン・デーンダー、アディサック・クライソーン(ともにムアントン・ユナイテッド)の負傷も重なり、西野監督の選んだ23人の中でフォワード登録はブリーラム・ユナイテッドの20歳、スパチャイのみ。そんな状況下で、西野監督は本来はセントラルMFのティティパンを最前線に配する2トップの布陣を敷いてきた。

「ティティパンを前線に起用したのは、彼は体が強くてよく動ける。最終的なフィニッシュに関しては難しいところがあるかもしれませんが、やはりあのフィジカルを生かしてまずはベトナムの3バックに対して、チェック(2トップの一角、スパチョークの愛称)と一緒に圧力をかけるようなプレーを求めました。その上で2列目のチャナティップらが生きるような、ターゲットマンとしての役割ができればと」(西野監督)

直近のベトナムとの対戦である今年6月のキングスカップの試合映像を何度も繰り返し見たという西野監督。3-4-3のベトナムに対して前回の対戦時は同じ3-4-3でミラーゲームを挑んだタイだったが、西野監督の選択は4-4-2。中盤はトップ下にチャナティップ、1ボランチにタナブーン、右にサーラット、左にはこれが代表初キャップとなるピティワットを配すダイヤモンド型だった。

【タイ代表スタメン】

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