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冴えた「西野采配」。バーレーンに5発圧勝で、タイが東京五輪へ好スタート【AFC U-23選手権レポート/A組①バーレーン戦】※本文無料記事

©Football Thailand

終始主導権を握ったタイ

 1968年のメキシコシティ大会以来、52年ぶりの五輪出場を目指すタイ。東京五輪出場をかけた初戦は、終始ペースを握る展開で中東の中堅国バーレーンに5対0と快勝した。 

タイはキックオフ直後にピンチを迎えたものの、すぐに落ち着きを取り戻して攻撃のリズムをつくる。スパチャイ、スパチョーク、スパナット、アーノンという「A代表組」で固める自慢の前線が次々とバーレーンのゴールに迫ると、12分に実の兄であるスパチョークとのワンツーで抜け出した17歳のスパナットが決めて先制した。

西野監督も「みんなアグレッシブでスタートが非常によかったので、得点が入れば我々のペースで進められる」と感じていたという序盤。順調に先制点を奪ったタイだったが、その後は追加点の遠い展開となった。アーノンからの絶妙のスルーパスでスパナットとスパチョークがそれぞれGKと1対1のシーンをつくるなど、いつ2点目が生まれてもおかしくない内容。だが、シュートが2度バーを叩くなど決めきれずに嫌な流れで前半を終えた。

だが、後半に入ってもタイが主導権を握るゲームは変わらず、47分にスパチョークが個人技で決めきって待望の追加点。さらに79分にはスパナットが自身2点目のゴールで試合を決定づけると、87分に投入されたジャルンサックが89分とアディショナルタイムに連続ゴールしてバーレーンにとどめを刺した。

79分のスパナットの3点目は76分に投入されたカーンナリンのボール奪取から生まれており、5点目のジャルンサックの得点も82分に投入されたウォラチットが持ち前のスルーパスで演出したもの。「西野采配」が冴えて交代選手たちもそれぞれに輝き、タイはホスト国として最高のスタートを切った。

「違い」を見せた自慢のアタッカー陣

東京五輪出場に向けて初戦をいい形で終えたタイだが、ここまでのチーム作りは必ずしも順調に進んでいたわけではない。重要な前哨戦でもあった昨年11月のSEAゲームス(東南アジア競技大会)では、まさかのグループリーグ敗退で大会4連覇を逃した。

チームにとって痛い故障者も続出し、まずはすでにA代表でも欠かせない攻撃のカードとなりつつある20歳のアタッカー、エカニットを招集できず。さらに、33名の代表候補招集後にもそれぞれレギュラーとして期待されていた左SBのケヴィン、GKのノントらが離脱するなど、苦しいチーム状況でもあった。

そもそも昨年7月末に就任してすぐにカタールW杯予選に臨むことになった西野監督には、落ち着いてU-23代表を見る時間はなかった。SEAゲームスまでの準備は主にタイ人のアシスタントコーチたちに任せられており、それ以降もチーム作りに十分な時間があったとは言えない。そんな状況下でバーレーン戦の快勝を導いた西野監督は、SEAゲームスからの流れをこう振り返る。

SEAゲームスの時点でも、チーム力は非常に高かった。選手たちもそれぞれ高い能力を持っていますし、(SEAゲームスの結果は)私自身のマネージメントがよくなかったというところだけなので。チームパフォーマンス的には決して大きくは変わっていないと思いますが、やはりホスト国として選手たちのモチベーションがまた一段階違うものは出ていると思う」

西野監督も「想像以上のパフォーマンスを見せてくれた」と言うバーレーン戦。エカニットという大きな穴はアーノンが持ち味を発揮して埋め、守護神に抜擢されたコラパットも相手コーナーキックからの決定機を防ぐなどゴールを死守。負傷離脱した選手たちのマイナスを感じさせなかった。

このチームの最大のストロングポイントであるアタッカー陣の能力の高さは、A代表での戦い以上にはっきりと「違い」を見せた。スパチョークとスパナットの兄弟にスパチャイ、アーノンのスタメン4選手だけでなく、ラスト数分で2点を決めたジャルンサックも近頃のパフォーマンスを見れば、おそらく近いうちにA代表でもチャンスが与えられるであろう能力の持ち主。U-20まではこの世代の顔であったウォラチットもリズムを変えられる高い技術力は健在で、切り札となり得ることを示した。

2戦目、3戦目ではオーストラリア、イラクというさらなる強敵が待ち受けるが、次戦のオーストラリア戦へ向けた質問に答える西野監督の言葉には密かな自信も滲んでいるように聞こえた。

「相手がオーストラリアということでいろんな対策を考えなければいけない。ただ、オーストラリアにも我々のストロングポイントは十分に通用するということを、この2日間で(タイの選手たちに)伝えていきたいと思います」

東京行きの可能性を語るのはまだ気が早いが、その目が十分にあることを改めて感じさせる初戦であったことは間違いない。

※以下、タイ代表出場選手、フォーメーション、ハイライト動画

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