「栃木フットボールマガジン」鈴木康浩

【無料記事】【レポート】ヴェルフェたかはら那須 リーグ最少失点の堅守と勝負強さ。ヴェルフェ2位浮上

守り切って2位浮上

 

第50回関東サッカーリーグ(KSL)1部は、前期第8節までが終了。前節、今季初黒星を喫して4位のヴェルフェたかはら那須は21日、茨城・セキショウチャレンジスタジアムで前節まで3位のジョイフル本田つくばFCと対戦、1-0で上位対決を制して2位に浮上した。

 

ヴェルフェは、各選手が各々の仕事の傍らKSLに臨んでおり、毎試合、十分な戦力を整えられるわけではない。ジョイフル戦は遠征不可の選手が重なり、特にDFがコマ不足で、堀田利明監督はポジション替えによりやりくりした。加えて、夜勤明けで出場した選手、体調面で不安を抱える選手がリザーブに入らざるを得ないなど、厳しい台所事情の下でキックオフを迎えた。

その状況下でも、各選手ともボールに向かうことを恐れずプレー、その姿勢が試合開始早々の2分に実を結ぶ。敵陣に深く入り込んだ左サイドで得たFK(公式記録はCKだが、現場で確認)をFW神村秀斗がゴール前に蹴り込み、MF小野優二が相手DFと競り合いながらも頭で合わせてネットを揺らし、先制点をゲットした。

何としてもホームで勝利したいジョイフルに、その後攻め込まれるシーンがあったものの、ヴェルフェの各選手は体を張ったプレーで跳ね返し、1-0のまま前半を折り返した。

後半に入るとジョイフルが攻勢を強める。ヴェルフェは、繰り返しゴール前に攻め込まれるが、GK小林庸尚主将を中心にゴールを死守。後半だけで9本のシュートを浴びながらも、最後まで得点を許さずに試合を終わった。

体力の限界をメンタルの強さでカバー

 

厳しい状況下で得たジョイフル戦の勝利は、堀田監督の采配と選手一人ひとりの集中力が導いた。

前節にジョイフルの試合を観戦した堀田監督は、用意周到にこの日を迎え、コマ不足のDFに本来はMFの秋谷直紀と高秀賢史を起用、前節までの3バックを変更し4-3-3のシステムを敷き、両SBには「前半は上がらないように」と体力を考慮した指示を出し、「パターンを色々持ちながら攻撃できるチーム」(堀田監督)というジョイフル対策を講じた。堀田監督曰く、「バクチを打った」。

そして、堀田監督の思いを心に刻み込んでピッチに立った選手たちは、最後まで集中力を切らさずやるべきことをしっかりこなして見せ、「バクチ」は大当たり、重く貴重な1勝を手に入れた。試合後の堀田監督は「(選手たちが)見事な適応能力を見せてくれた。してやったり」と、爽快な表情を見せた。

 

守護神の小林主将は「(監督からの)情報があり、イメージを持って練習できていたので自分たちの間合いで行けていた」と振り返る。特に後半は、ゴールに迫られるシーンが多かったものの、「しっかりブロックでき、チームとして良い守備ができていた」と自分たちの戦い方に手ごたえも感じた様子。

体力が限界を超え、足をつってしまう選手もいた。しかし、それをカバーするだけのメンタル面の強さを見せたヴェルフェ。それは数字上でも感じ取れる。第8節を終わって得た5勝(2分け1敗)はいずれも1点差勝ち。10得点は10チーム中7位ながら、6失点は最少と、勝負強さが光る。

 

チームの目標は「関東制覇」。堀田監督、小林主将とも、ことあるごとに口にする言葉が「連敗するチームは優勝しない」。そこからは、チームが一丸となって、勝ちに拘る強い思いが感じて取れる。

28日の前期最終戦(第9節)では、勝ち点14で現在5位の東京23FCとアウェーで対戦。首位争い食らいついていくためにも、勝ちに拘った試合運びで、勝ち点を積み上げてくれることを期待したい。

(文・写真 永島一顕)

◆ジョイフル戦の出場メンバー

GK①小林庸尚

DF②箕輪圭祐→90+2分MF⑤益子義崇

DF㉗高野修栄

DF⑥秋谷直紀(MF)

DF⑦高秀賢史(MF)

MF⑧髙橋祐樹

MF⑮小林俊介

MF⑩小野優二

FW⑰東郷慎(MF)→84分DF③上沢拓也

FW⑲神村秀斗

FW㉙森本恭介→77分FW⑭阿久津草太

※()内は登録ポジション

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