「栃木フットボールマガジン」鈴木康浩

【レビュー】栃木SC J3第23節G大阪U-23戦 18試合ぶり敗戦。相手に向かっていく姿勢がなかったのはなぜか。

2016明治安田生命J3リーグ第23節
2016年9月25日17時キックオフ 栃木県グリーンスタジアム
入場者数 4,715人
天候 晴天、無風
気温 25.0℃
湿度 82%
ピッチ 全面良芝、乾燥

栃木SC 0-2 G大阪U-23
(前半0-1、後半0-1)
得点者:36分 堂安律(G大阪U-23)、53分 小川直毅(G大阪U-23)

 

<スターティングメンバー>

◆栃木SC
GK 21 吉満 大介
DF 29 島川 俊郎
DF 4 広瀬 健太
DF 5 尾本 敬
DF 7 菅 和範
MF 38 宮崎 泰右
MF 2 西澤 代志也
MF 30 本間 勲
MF 8 廣瀬 浩二
FW 32 リカルド ロボ
FW 9 大石 治寿

控えメンバー
GK 1 竹重 安希彦
DF 17 山形 辰徳
DF 18 坂田 良太
MF 14 西谷 和希
MF 20 山本 大稀
MF 6 古波津 辰希
FW 11 ジャーン モーゼル

監督 横山 雄次

46分 菅→山形 70分 宮崎→西谷 80分 廣瀬→古波津

46分 菅→山形
70分 宮崎→西谷
80分 廣瀬→古波津

(写真 永島一顕)

(写真 永島一顕)

30分過ぎから徐々に生まれた隙

 

前半、守備のファーストアプローチが緩くて、時間の経過とともにずるずると全体のラインが下がり、そうして迎えた36分、ゴール前至近距離から「東京五輪の星」と評される堂安律に左足を一振りされて先制を許した。

 

という流れだと思っていた。とちぎテレビの録画放送を確認するまでは。

見直してみると、前半30分くらいまではそれほど悪くない。守備についてはいつもの栃木だった。しっかり守備ブロックを築いて、相手ボールホルダーへのファーストのアプローチ、それに伴う後方の選手たちの連動もそれなりだった。その流れから10分には右サイドで奪い切り、本間勲からロボへスルーパスもシュートには至らず、14分には廣瀬浩二が相手の縦パスを高い位置で引っ掛けてショートカウンター、シュートまで持ち込んでいる。

 

ただ、明らかに全体のラインが引いてしまったのは、前半34分のCKの流れからだった。相手にセカンドボールが渡ったときの守備のファーストアプローチが芳しくなかった。相手が栃木のバイタルエリア付近までボールを運んで保持しているというのに、中盤のラインのボールへのプレッシャーが非常に緩い。直後、フリーになって時間も余裕もある相手ボールホルダーからこちらのDFラインの背後へ浮き球のパスを出され、堂安律にボレーで合わせられた。GK吉満大介がビッグセーブしたが、あれだけボールホルダーを自由にすれば相手は何でもできてしまう。ましてや相手は、若いとはいえ、ガンバである。

 

そして、相手の先制ゴールはこの直後の36分だった。直前のCKの流れからの対応と同様、この時間だけは相手のボールホルダーを中盤の選手たちが見てしまっている。そして右サイドからのパスを中央で受けた堂安が、西澤代志也のまた下を抜くような強烈な左足を一振りして先制に成功した。

 

堂安のシュートは質が高かったし、およそJ1レベルのゴールだろう。「練習後にずっと練習している形」(堂安)だそうで、得意の形だった。これまでのJ3の相手のフィニッシュワークにはない質があった。これまで栃木は相手の最後の質に助けられてきた側面もあったわけだが、この試合においては助けてもらうことはできずに防げなかった。

ただ、自分たちに矢印を向けるならば、こちらの守備アプローチにも問題があったのは事実である。

 

「真っ向勝負で相手に向かっていくような姿勢がなかった」

 

試合後に横山雄次監督が話しているが、前半は攻撃もそうだったが、まず、自分たちのベースであるべき守備において、相手に向かっていく姿勢が欠ける時間帯ができてしまったのは、堂安という最後を仕留められる選手がいるチームに対して致命傷となった。

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