【無料記事】【レポート】栃木SCユース 大分と死闘、意地と意地のぶつかり合いは決着付かず。栃木は惜しくもグループリーグ敗退。日本クラブユース選手権(U-18)第3日
2点ビハインドから執念の猛攻も逆転はならず
日本クラブユース選手権(U-18)は本日第3日の試合が行われ、栃木SCユースは大分トリニータU-18と対戦。2対2の引き分けに終わった。栃木SCユースはグループリーグを3戦3分け、初となる決勝トーナメント進出は惜しくもならなかった。同グループリーグからは川崎フロンターレ、モンテディオ山形が勝ち抜けた。
保護者、サポーターのみならず、橋本大輔社長をはじめ多くのクラブ関係者も見守ったこの試合は、前日からの雨の影響により開始時刻が3時間順延されて行われた。ピッチコンディションは最悪、お互いにボールコントロールもままならない状態となった。栃木は前半9分、後半7分にそれぞれカウンターから失点を許してしまう。しかし後半14分、最終ライン裏に抜け出したボールに反応した本庄竜大が相手GKより先に触って押し込み1点を返すと、後半26分には途中出場の長谷川淳也からの折り返しにまたしても本庄が嗅覚でボールに合わせて同点ゴール。2点とも、GKとのギリギリの勝負で触り、ボテボテと転がりながら押し込まれる泥臭い、魂のゴールだった。「達海、決めろ! お前が決めるんだよ!」。2ゴールを奪い、鬼気迫る雰囲気を醸し出す本庄が、チームのエース早乙女達海を手を叩きながら鼓舞する。その声に早乙女も反応するように、何度も身を投げ出してボールに飛び込み、強引にシュートをねじ込もうとする。
エースの後ろ姿に勇気づけられるように勢いづいた栃木はその後も全員攻撃の猛攻を仕掛けるが、2戦して2敗し、勝ち点ゼロで帰るわけにはいかない大分も身体を張って泥臭く応戦。栃木が強引に縦に蹴り込んでくるボールに対して、食らいつき、何度も何度も力強く跳ね返し、ときにカウンターへと繋げようとした。まさに、意地と意地とのぶつかり合いとなった好勝負。しかし双方ともに3点目のゴールは奪えずについにタイムアップの笛は鳴った。試合は2対2のまま引き分けで終了し、栃木SCユースの挑戦もここで幕を閉じることになった。
栃木SCユースメンバー
GK16中島健人
DF15中三川海斗
DF4金田智明
DF5川野秀悟
DF6川原丸暉
MF17柳陸斗
MF14神野淳
MF7山本廉
MF9坂本昂優
FW10早乙女達海
FW11本庄竜大
交代
前半38分 柳→24鈴木隼斗
後半12分 坂本→18長谷川淳也
栃木SCユースのグループリーグ3戦はいずれもドロー決着。どの強豪チームとも互角に渡り合う内容ではあった。3試合240分のなかで、あと1点さえゴールを奪えればグループリーグが通過できた今大会。しかしわずかに届かなかった「1点の重み」をこれ以上ない形で痛感する結果になった。
しかし選手たちは観る者の心を奪う、魂の戦いを見せたことを誇りに思っていい。そしてこれですべてが終わりではない。公式戦はこれからも続く。次のステージで今回の苦い経験を活かし、乗り越えてこそ、この魂の戦いが意味を成す。選手たちは今後、夏休みの間にトップチームの練習に参加するケースも出てくるだろう。ひとりでも多くの選手にトップチームへの門戸が開かれ、そのなかから未来へチャンスをものにする選手が現れることを切に願う。
(文 編集部スタッフ)