「栃木フットボールマガジン」鈴木康浩

【プレビュー】栃木SC J3第34節アスルクラロ沼津戦 思いと思いがぶつかる激戦必至。SCよ、勇敢に戦い、力強く優勝を掴み取れ。

12月3日日曜日。栃木SCJ3リーグ第34節アスルクラロ沼津戦を戦う。現在、栃木SCは16勝11分4敗、勝点59で首位。対戦相手のアスルクラロ沼津は16勝10分5敗で勝点58、2位。前回対戦は第5節、栃木SCが後半アディショナルタイムの西谷和希の逆転ゴールで勝利した。今節のキックオフは13時。愛鷹広域公園多目的競技場にて。(順位は前節終了時)

多くの思いを胸に、いざ最終決戦へ。(写真は永島一顕)

多くの思いを力に変えて、さあいこう栃木

 

前節ホーム最終戦の長野戦の直前、グリスタのフードコートで「今日決めちゃってくださいよ、頼みますよ」と声をかけられた。声の主は旧知のヴェルフェサポーターだった。

今週になって「最後引き分け以上ならいけるでしょ。J2行ってくださいよ、絶対」と連絡をよこしたのは旧知のウーヴァサポーターだった。

彼らに共通する思いは、なんだかんだ栃木SCは栃木の誇りだということだ。栃木SCには頑張ってもらわないといけない、Jリーグで存在感を示す強い栃木SCでいてよ、頼むよ、という胸のうちにある思い。

明日の沼津戦には栃木SCのアカデミーの子どもたちもバスで駆けつける。自分たちのトップチームの選手たちの勇敢なる戦いを見届けたいと最後の最後まで声を枯らして応援してくれるはずだ。そしてバスや乗用車で沼津に地に駆けつけるサポーターは千人以上と予想される。宇都宮のオリオンスクエアではパブリックビューイングも開催される。DAZN観戦で強い念を送ろうとする人もいるだろう。

 

それらの思い、無駄にしてなるものか。

 

2年前、J3降格が決まったとき、このクラブは危機的状況にあった。支えてくれる人たちが離れていくのではないか。このクラブはなくなるのではないか。漠然とした底のない不安に襲われたのは、このサイトのコアな読者ならば肌感覚でわかるだろう。

しかし、そうはならなかった。橋本大輔社長が陣頭するクラブの努力も功を奏し、栃木SCがJ3で再生の道を歩んでいる。このクラブは、降格したことで強くなった。その証左にJ3で2年目となる今季、クラブは11,191人という観衆をグリスタに集める試合を作った。多くの思いがグリスタに溢れていた。おらが街のクラブへの大きな期待があった。一度は敗れ去った者たちが、それでも粘り強く立ち上がり、懸命に復活しようとする姿への叱咤激励と心からの後押しである。

 

その思い、さらに大きくするためにはJ2という舞台がどうしても必要だ。栃木SCはJ3に降格しながら粘り強く信頼を取り戻そうと取り組んできた。そうして自分たちで追い風を作ってきた。昨季は寸でのところで優勝を逃して壁に跳ね返された。それでも再び立ち上がり、またもこの大舞台にたどり着いたのだ。自分たちで作り上げて掴んだこの二度目のチャンス、絶対に逃してはなるまい。

決戦を前にして、それらを身体中で感じ取っている菅和範は「そういう多くの思いを力に変えたい」と言い切った。

 

「次の試合に出場できないメンバーもいます。来季ユースから上がってくるメンバーもいます。応援に来てくれるアカデミーの選手たちの思いもあります。そういう思いに大きいとか小さいとかはありません。現地に来てくれるサポーター、こっちで応援してくれるサポーター、多くの思いをピッチ上の強い思いに変えて戦います」

 

相手の沼津も勝てばホーム最終戦の観衆の前で優勝を決められる大一番。J3昇格から即リーグ優勝ならば金沢、山口に続いて3例目という快挙が懸かる。

思いと思いがぶつかる戦い。思いの強さが勝ったほうが最後に勝利を手にする戦いだ。

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