「栃木フットボールマガジン」鈴木康浩

【全文掲載】【レポート】2018栃木SC新加入選手・スタッフ記者会見

新加入選手たちの集合写真。今季新たに迎えたのは13名。手前向かって左から久富良輔選手、石川慧選手、温井駿斗選手、浜下瑛選手、早乙女達海選手、奥向かって左からヘニキ選手、本庄竜大選手、山本廉選手、荒井秀賀選手。なお、この日は大黒将志選手、西河翔吾選手、寺田紳一選手、川上盛司選手は諸事情により欠席した。なお、スタッフの新任に吉澤英生ヘッドコーチ、田中等志フィジカルコーチ、溝口徹トレーナー、人見俊輔副務。

14日、栃木SCは新シーズンに向けた新体制会見を行った。以下、当日の様子を全文掲載でお伝えする。

 

〇橋本大輔社長

「皆さん明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。今年からJ2に復帰することができ、厳しい戦いになると思いますが、選手、スタッフ、いい準備をして開幕戦を迎えたいと思います。J3に降格して2年間戦うなかで、クラブとして何が原因で降格したのか、これからクラブとして成長するために何が必要か、この2年間は自分たちと向き合い、必要なものは何か議論してまいりました。そのなかでクラブとして明確な考えを持つべきではないかという結論に至り、クラブとしての哲学、クラブのバリューを考え、今日お伝えしたいことがあります。皆さん新しい選手に早く会いたいと思っていると思いますが()、少しお時間を頂きたいと思います。

J3に降格して、この2年間、株式会社栃木サッカークラブはクラブの運営会社として、J2に昇格することだけを考えるのではなく、クラブの在り方を見つめ直す時間にさせてもらいました。そのなかでクラブに関わる全員が共有する考え方を持つ重要性に気づかされました。ここに掲げるのはクラブのフィロソフィー、哲学としてクラブに関わる人全員が共有する言葉になります。『KEEP MOVING FORWARD↑』。常に前進し続けるという意味になります。現状に満足することなく、常に成長する。また、困難な状況でも困難に打ち克つために前に進み続ける。進化や成長のために変化を受け入れながら前へ進み続ける。J3に降格した2年間で前へ進むことをやめてしまっていたら、あの去年12月の昇格はなかったと思います。また、クラブに困難があるからと止まってしまっては、きっとここにいる皆さんも一緒に戦ってくれなかったと思っています。フロント、選手のみならず、皆さんも一緒になって戦う。たとえば、2016年で昇格を失敗したときも翌年またスタジアムに来てくれて、また一緒に戦おうと声をかけてくれて、その上で成し得たJ2昇格だと思っているので、どんなときも前へ進み続けることがクラブの成長を止めない、とても重要なことだと感じまして、この言葉を選びました。この考え方は人生にも置き換えられると思っています。物事が計画どおりに進むことは少ないと思います。こういう考え方を育成年代の子どもたちにも共有してもらいます。今後社会に出て色々な難しい局面を迎えると思うのですが、子どものときから前へ進むことの大事さを教えることが大事だと思っています。育成年代からJリーガーになれる選手は少ないと思いますし、色々なフィールドで活躍してもらうためにこの言葉を根付かせていきたいと思っています。

この言葉をフィロソフィーとして考えていて、その上でクラブがバリューとして考える大切なことを5つ掲げています。一つ目が『楽しむ』。エンジョイ。二つ目が『成長』、現状に満足することなく常に成長することをクラブは価値として考えます。三つ目が『unity(団結)』。組織力、団結力を向上させることをクラブは価値として考えます。四つ目が『sincere(誠実)』。感謝の気持ちを持ち、常に行動に移せることにクラブは価値と考えます。そして最後に『チャレンジ』。勇気を持って挑戦することをクラブは価値として考えます。この5つを選手、フロントスタッフ、育成年代の子どもたち、できればファン・サポーターの皆さんが共感して頂けるのではあれば、皆さんの生活で活かしてもらえればと思いますし、そこまで市民クラブとしてやっていければと思っています。

今年からクラブの考え方をこの言葉にしてユニフォームに入れることになりました。この機会を利用させてもらって冒頭に説明させていただきました。この考えを成長させることが大事だし、1年毎のスローガンを考えずにこの言葉を浸透させることをしていきたいと思っています」

 

〇新里裕之強化部長

「皆さんこんにちは。強化部長の新里です。よろしくお願いします。まず昨シーズン、素晴らしい応援、ありがとうございました。また、今年は舞台がJ2になってくるので変わらずに厳しい戦いがやって来ると思います。とにかく栃木県を一つにして一個一個戦って行ければと思います。

今シーズンの新加入選手とレンタルで外に出ていく選手について話をさせていただきます。まず今シーズンについては36名の構成になりました。そのなかで6名がレンタル移籍します。J3藤枝MYFCに川上盛司選手と川田修平選手。J3で試合に出場できる才能と実力があるので2年後、3年後に力を付けて帰って来れるようにしてほしいと思います。藤枝を選んだのはビルドアップ。ボールを繋ぐ握り方を経験して、プラス、力を蓄えて欲しいと思っています。そしてもう一つ、荒井秀賀選手、本庄竜大選手、早乙女達海選手、山本廉選手については、東北1部リーグのブランデュー弘前へ育成型期限付き移籍します。ここはまだまだ若いクラブで、この移籍はタイミングでした。出会いがありまして、育成を考えているクラブだということです。今年監督に就任した内藤就行氏がJリーグでの経験であったり、ひた向きで戦う選手でだったりしたこと。内藤氏が厳しくもしっかりと私生活も含めてやっていけだけるという環境でした。一つ、環境でいえば寮があるということ。食事の環境も整っています。これは大事なところでありますので、サッカーに対する環境が整っているのでぜひうちに、ということでした。もう一つの考えは、昨年、我々がJ3の舞台で一つも落とせない環境のなかで試行錯誤しながら戦い、昇格を勝ち取った経験は大変なものでした。ただ、それが今になって思えば貴重な経験でした。ブランデュー弘前というクラブは東北リーグで優勝しないといけない立場にあり、その力として我々4選手へのオファーを受けました。去年の我々のような負けが許されない状況のなかでチームを勝たせるというミッションがあります。彼らは今後の我々にとって大切な選手たちになってきます。カテゴリー関係なく、まずは試合出場を考えて選択したことなので、陰ながら、また現地で応援して下さる方がいればお願いしたいです。

また、J2の舞台では30名が戦います。新加入の久富良輔選手。26歳。彼は藤枝でのクロスの質、運動量、サイドバックだったりワイドだったりの質があります。浜下瑛選手。22歳。大卒のユーティリティプレイヤーです。色々な状況に対応できる選手だと思います。練習試合でも才能を見せてもらいました。温井駿斗選手。セレッソ大阪から来た左サイドバックです。ワイドもできます。どちらかといえばボールを握れて、クロスの質はトップクラスです。まだまだ21歳なので我々のクラブの未来を考えた選手です。ヘニキ選手。日本で長い経験があり、J2リーグのプレーも豊富です。とにかくパワーあふれるプレー、アグレッシブに戦ってくれます。空中戦も強いです。岐阜ではたくさんのファン・サポーターがいたということで人柄もチームにプラスになると思います。石川慧選手。彼は僕が秋田にいたときにレンタルで来てもらってシーズンを戦ってくれました。コーチングの迫力、1対1の対応、シュートストップはJ1レベルです。彼が我々のチームを選んでくれたことはチームへの大きな影響になりますし、GKの3選手で競い合うことで、いい準備ができればいい結果が出ると思っています。

また今回欠席になりますが、大黒将志選手。彼には多くを言うことはありません。とにかくゴールを目指す、点数をとってもらうことがオーダーです。西河翔吾選手はセンターバックで期待しています。フィジカルも強いし、年齢的にも豊富な経験があり、コーチングもできてポジションのバランスもとれる選手です。最後に寺田紳一選手。彼に関してはガンバのDNAがあります。技術的に高い選手。ラストパスのクオリティは高いです。ネイツ・ペチュニク選手、大黒将志選手、廣瀬浩二選手など色々なアタッカーがいるなかで最終的なパスが通るか、大きくプラスになると思っています。

各ポジションに経験値のある選手を準備しました。そして去年のように失点をせずに隙を突いて点数をとっていくこと。あとは相手によってはかみ合わせを悪くすることもあれば、陣形を固めることもありますが、4バックと3バックを使い分けて、とにかく勝ちを取っていきます。あとは選手個人個人についてですが、自分はサイドバック、CBだけ、ということではなく、複数ポジションをこなせる選手たちが複数います。それは監督がこの2年間で作ってくれたと思っています。とにかくこの選手たちでJ2の中位、11位を目指していきたいと思います。この目標をマイナスに捉える人もいると思いますが、栃木SC2年間J3の舞台にいたこと、そしてこの2年間でJ2の舞台は変わってきました。とにかく堅く戦う、そして真ん中のポジションをとっていきたい。その上でJ1を目指すことに変わりはないので、2年後,3年後を見据えて、今の戦いを続けて経験を積んでいきます。いいゲームもあれば悪いゲームもあるでしょう。それでも、この1年はクラブと栃木県が一体になる。一つになってワンシーズンを集中して戦い、それが選手とスタッフの後押しになればと思います。とにかく将来を考えたうえでの今年という位置づけです。来年、再来年のことを考えていますので、今年はそのためにじっくりと闘っていきます。よろしくお願いします」

 

Q.続いて、新加入の選手・スタッフから自己紹介です。

 

〇田中等志フィジカルコーチ

「今季フィジカルコーチを務めさせていただきます、田中等志と申します。昨シーズンはセレッソ大阪でフィジカルコーチを務めさせていただきました。2012、2013年シーズンは栃木SCにおりまして、縁があり、また栃木SCで仕事をさせていただきます。監督、選手たちと一緒になって栃木SCを盛り上げていければと思います」

 

〇荒井秀賀選手

「ベガルタ仙台ユースから来ました荒井秀賀です。栃木SCのために全力で戦います。応援よろしくお願いします」

 

〇山本廉選手

「栃木SCユースから昇格した山本廉です。まずは戦える身体を作って、一日でも早く試合に出られるように頑張ります。応援よろしくお願いします」

 

〇早乙女達海選手

「栃木SCユースから昇格しました早乙女達海です。とにかくゴール、結果を掴める選手になれるように努力します。応援よろしくお願いします」

 

〇本庄竜大選手

「栃木SCユースから来ました本庄竜大です。一日でも早く栃木SCのピッチに立てるように頑張りますので応援よろしくお願いします」

 

〇ヘニキ選手

「こんにちは。ヘニキと申します。FC岐阜から来たボランチです。今年皆さんの力になれるように皆さんと一緒に頑張りたいと思います。よろしくお願いします」

 

〇久富良輔選手

 

「こんにちは。藤枝MYFCから移籍してきた久富良輔です。J2昇格の年に加入できたことを嬉しく思います。一日でも早く栃木SCの力になれるように頑張りたいと思います」

 

〇温井駿斗選手

「セレッソ大阪から移籍してきた温井駿斗です。ファン・サポーターの皆さんにこの選手を獲得してよかったなと思えるようなプレーや活躍ができるように、そしてチームに貢献できるように頑張ります」

 

〇浜下瑛選手

「産業能率大学から加入した浜下瑛です。一日でも早くチームに貢献できるように頑張りますので応援よろしくお願いします」

 

〇石川慧選手

「ベガルタ仙台から加入したゴールキーパーの石川慧です。まず栃木SCに加入できてうれしく思います。ここにいる栃木SCのファン・サポーターの皆さんに勝利を届けられるように頑張ります」

 

Q.続いて横山雄次監督のご挨拶です。

 

〇横山雄次監督

「こんにちは。今年も監督を務めさせてもらうことになった横山です。改めまして昨年は、本当に多くのご声援を頂きましてありがとうございました。皆さんのご声援をいただけたことで昇格できたと思っています。僕自身、栃木では3年目の指揮になります。いい意味で慣れてきて、今後やりたいことなどを頭の中でいろいろと考えています。ただ、いい意味でJ2の舞台では、サポーターの皆さんから見て、選手たちが躍動していると思えるようなチームを作りたいです。とにかく前向きなエネルギーが溢れるようなチームをもう一度しっかり作りたいと思います。引き続き、サポーターの皆さん、メディアの皆さん、スポンサーの皆さんにご支援、お力をいただきながらしっかり戦えるチームを作ります。よろしくお願いします」

 

Q.続いて質疑応答に移ります。

 

――新加入選手にこの点では負けないという意気込みを聞かせてください。

 

〇石川慧選手

「僕はシュートストップとクロス対応を得意としています。それでチームに貢献できればいいと思っていますし、ただ一番は、僕のパフォーマンスはどうであれ、チームが勝てることが一番だと思っています」

 

〇浜下瑛選手

「1対1で打開する。そこは絶対に負けない自信があるので勝負したいと思います」

 

〇温井駿斗選手

「僕の長所は左足のキックです。左サイドバックなので、足下で作る部分と、クロスの質には自信があります。去年はC大阪U23でセットプレーも蹴っていてアシストも何本かできたので、その部分も含めてチームに貢献できたらと思います」

 

〇久富良輔選手

「自分の持ち味は運動量だと思っています。試合終盤のきつい時間帯の運動量を注目してもらえればと思います」

 

〇ヘニキ選手

「対人やマークの強さ、空中戦の強さ、それが得意ですし、そこでチームに貢献できると思っています」

 

〇本庄竜大選手

「自分は縦へのスピードが武器だと思っているので、そこをさらに伸ばせるよに弘前の地で頑張っていきたいと思います」

 

〇早乙女達海選手

「ゴール前の駆け引きが強みですが、そこを弘前でもっと伸ばして成長して、ゴールを決められるように応援をよろしくお願いします」

 

〇山本廉選手

「自分の持ち味は1対1の強さ、キープ力、そして両足からのロングボールが特徴です」

 

〇荒井秀賀選手

「自分は仙台ユースでセットプレーのCKFKを蹴らせてもらっていました。ゴールへ直結するスルーパスとか、相手を打開するドリブルが得意です」

 

――横山監督に伺います。新戦力と既存選手の融合はどう考えていますか。

 

〇横山雄次監督

「今年、僕は3年目の指揮になりますので、ベースはこの2年間でできていると思っています。ハードワークをして、全員が攻撃と守備に関わること。ただ、先シーズンの最後も感じましたが、そこにプラスαが必要で、ゲームを勝つには個人の力が絶対に必要になります。なので、チームのベースと同時に個人としても成長すること。ゲームの勝敗に関われる力を持つこと。たとえば、アシストする、個人でボールを奪い切れる、色々ありますが、とにかく個人としてのレベルアップをしてほしいと思います。その意味で、今年ここに入ってきてくれた選手たちは個人として力のある選手たちだと思っていますので期待しています」

 

――新里裕之強化部長に伺います。CBについては坂田良太選手が長期でケガをしていることもあり、現状で頭数は足りていないと思いますが、直近で補強があるのか、どういうイメージでしょうか。

 

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