「栃木フットボールマガジン」鈴木康浩

【無料記事】【Column】新星栃木ウーヴァ、群雄割拠の関東1部を突破し「1季でのJFL復帰」はなるか?

(文・写真 永島一顕)

群雄割拠の関東1部、いよいよ4月1日に開幕。

 

52回関東サッカーリーグ(KSL)1部が4月1日に開幕する。リーグ戦には10チームが参戦、各チームが前・後期とも9試合ずつ計18試合行って覇を競う。本県からは、9季連続で臨むヴェルフェたかはら那須と昨季のJFLから降格してきた栃木ウーヴァFCが「関東王座」を掛けた戦いに挑む。

今季のKSL1部には、昨季優勝のVONDS市原FCのほか、栃木ウーヴァとともにJFLから降格してきたブリオベッカ浦安、元日本代表の岩政大樹を擁するTOKYO UNIITED FCなどが名を連ね群雄割拠の状況。その中、本県2チームがどのような戦いを見せるのか、また、「栃木ダービー」での意地と意地とのぶつかり合いも期待され、注目の尽きないシーズンとなりそうだ。

 

栃木ウーヴァが見据えるのは「1季でのJFL復帰」

 

2010年から参戦した日本サッカーリーグ(JFL)で昨季最下位となり、KSL1部に降格してきた栃木ウーヴァ。シーズンオフにチームはプロ化され、スタッフを含めたその陣容は一変、JFL参戦時とは全く違う体制で挑むこととなる。

スローガンは「本気力」と書いて「マヂカラ」。岩原克彦・前社長(現会長)からバトンを受けた大栗崇史・新社長は、「見ていて楽しいサッカーをお見せする」とチームが目指す姿を言葉にする。

今季の最大の目標は「1季でのJFL復帰」。関東を制することはその通過点との位置づけで、その先には、早期の「J昇格」も念頭に置いている。

オフシーズンには、実績十分のベテランに加え、期待の若手もウーヴァの一員として名を連ねた。目標を高く持つチームに集ったメンバーは、同リーグの他チームにとってはうらやましい限りだろう。

新加入の中でも一番の注目は、デカモリシの愛称で親しまれるFW森島康仁(もりしま・やすひと)。J1107試合19得点、J2172試合39得点、2008年には出場こそなかったが日本代表入りした実績を持ち、昨季はデゲバジャーロ宮崎に所属し、九州リーグで17試合19得点をマークした。

317日のブランデュー弘前とのトレーニングマッチ(TM)でも3ゴールを決め、存在感を示した。昨季のJFLでは、16チーム中最少得点と決定力を欠いたチームにとっては頼りになる存在と言える。昨季は栃木SC所属のFW竹中公基(たけなか・こうき)らの活躍も期待され、チーム在籍9年目で最年長の大ベテランFW若林学(わかばやし・まなぶ)が健在なのもファンにとっては心強い。

守備面では、J2のツエーゲン金沢から移籍してきたGK原田欽庸(はらだ・よしのぶ)の存在が大きい。栃木ウーヴァが8季参戦したJFLで、最高順位の10位をマークした2011年、主戦GKとしてゴールを守り、その実力は折り紙つき。

原田は「カテゴリーのことは気にしていない。積み重ねてきた経験を生かして全てを出し切り、(チームの)JFL復帰を目指したい」と意欲を見せる。

その原田を中心として、2014年に栃木SC、昨季は愛媛FCに在籍した鈴木隆雅(すずき・りゅうが)らも加わり、ディフェンス力の向上も図られている。

他にも、MFでは髙地系治(たかち・けいじ)、井澤惇(いざわ・あつし)、野崎陽介(のざき・ようすけ)ら実績十分の選手が顔をそろえ、チーム内競争も激化しそうだ。

強豪がひしめく中にあっても「戦力で見劣りすることはない」と岸野靖之・戦略統括責任者(CSO)も自チームの戦力に自信をのぞかせる。弘前とのTM後には「(開幕に向けて)まだまだの所もあるがお互いを知り、連係も取れてきている」と、チームのまとまりの向上を実感しているようだった。

チームが目指す「ボールを動かして相手の裏を取り、スピードアップを図っていく」というプレースタイルも浸透してきており、岸野CSOは「きっちり走って、粘り強くやっていくことが大事。でも、心のスキを見せたり、軽いプレーをするとやられてしまう」と、V候補に挙げる周囲の声に流されることのないよう、気を引き締めた表情で話した。

「立ち位置を間違って、受けて立ってしまってはいけない。挑戦者のつもりで常にチャレンジして行く」と、強力な戦力を率いる堺陽二監督からも余裕を感じさせる言葉は聞こえない。

「他チームは『ウーヴァには負けない』の気持ちで来ると思うが、VONDS市原は昨季のチャンピオン、ブリオベッカ浦安は同じだったJFLでうちより上位だったのだから相手が上」と向かって行く気構え。更に、「プレッシャーがかかり結果も求められる中、泥臭く1点を取りに行くプレーをしなくてはいけない」と、ゴールにこだわっていくことの必要性も話した。

また、ダービーとなるヴェルフェたかはら那須戦については、「過去に勝った試合でもすんなりと勝ったことはない。栃木県のサッカーを盛り上げるためにも良い試合をして、しっかりと結果でこたえない」と、注目される戦いでの勝ちにこだわる姿勢を見せた。

とにかく、今季の栃木ウーヴァは、他チームの標的になることは間違いない。その中で、如何に受け身にならないかが大切だろう。「経験豊富な選手が来て、いろいろと話すことで若手も刺激を受けている」と、チームが良い方向に進んでいることも話す若林も「受けて立つ気持ちになると足元をすくわれる」と気を引き締め、「全員がプロである以上、当然、結果を求められる。一人ひとりが自覚を持って、強い気持ちでプレーしなければいけない」と、新たな舞台での戦いに目を向けていた。

プロ化されたチームがベールを脱ぐ開幕戦の相手は、昨季7位の横浜猛蹴。栃木市総合運動公園陸上競技場で午後1時キックオフ。

 

 

◇栃木ウーヴァFC 選手&スタッフ

▽チームスタッフ

・戦略統括責任者  岸野 靖之

・監 督      堺 陽二

・ヘッドコーチ   松田 岳夫

・アカデミーディレクター兼チームコーチ

          永井 州

GKコーチ    安藤 洋也

・トレーナー    笠原 遼平

・ドクター     東 高弘

・マネージャー   峯上 裕樹

          アントニオ

          塚本 瑠璃

▽所属選手(背番号・氏名・年齢)

GK

1 森  健太 23

21 田中 大貴 22

31 原田 欽庸 31

DF

2 大木  暁 25

3 増田 修斗 24

4 岡本  洵 25

5 石堂 圭太 25

15 鯉沼  晃 22

17 津田 琢磨 37

23 守田  創 25

26 鈴木 隆雅 24

29 モア 徳彦 23

MF

6 高地 系治 37

7 村田  翔 30

10 井澤  惇 28

13 野崎 陽介 33

14 清水 貴文 25

16 岩渕 裕人 22

24 豊嶋 邑作 25

27 若杉 好輝 22

28 マテウス 18

FW

8 レオジーニョ 27

9 山村 祐樹 27

11 竹中 公基 25

18 宮下 周歩 23

19 佐藤 祐輝 27

20 森島 康仁 30

22 吹田  諒 25

25 若林  学 38

※年齢は41日現在)

 

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