「栃木フットボールマガジン」鈴木康浩

【PLAYERS Column】栃木SC 堅守栃木の中のストライカー大黒将志。

(撮影は永島一顕)

 

ストライカー大黒将志の抜きん出た強みとは何か

 

大黒は堅守栃木でも大黒だった。

さすがはどのチームでもゴールを奪ってきた屈指の点取り屋である。3試合連続ゴール中で迎えた前節福岡戦、次のゴールがJ2歴代最多を更新し、前人未到の100ゴール目の節目だったが、あっさりと決めた。

正直、序盤戦のチーム状況では今の数字は難しいように思えた。防戦一方の後ろ重心の展開ばかりで、チャンスはロングスローを軸とするセットプレー頼り。大黒は昨季、京都で挙げた6ゴールのうちセットプレー絡みで隙を突いたゴールが5つもあるとはいえ、今季序盤の栃木は大黒からすればチャンスがないにもほどがある、という状況だった。大黒が練習や試合中に再三要求するクロスボールは左右両サイドで精度を欠いた。

苛立ちはあったに違いない。だが、大黒は足を止めなかった。「今は勝点を稼がないと」。厳しいチーム状況を受け入れ、前線から懸命に守備に奔走する姿があった。それを続けるなかで”一瞬”を待ち続けた。

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