「栃木フットボールマガジン」鈴木康浩

【レビュー】栃木SC J2第37節大宮アルディージャ戦 大宮の高い壁をまたも越えられず。埋めるべきものは何か?

2018明治安田生命J2リーグ第37節

2018年10月14日16時キックオフ NACK5スタジアム大宮
入場者数 12,053人(うち栃木サポーターはゴール裏に600人ほど)
天候 曇り、弱
気温 18.3
湿度 62%
ピッチ 全面良芝、乾燥

大宮アルディージャ 1-0 栃木SC
(前半1-0、後半0-0)
得点者:23分 大前元紀

<スターティングメンバー>

GK 1 竹重 安希彦
DF 42 パウロン
DF 19 服部 康平
DF 17 福岡 将太
MF 27 久富 良輔
MF 5 ヘニキ
MF 6 古波津 辰希
MF 26 夛田 凌輔
FW 9 大黒 将志
FW 14 西谷 和希
FW 41 西谷 優希
控え
GK 33 石川 慧
DF 7 菅 和範
DF 3 西河 翔吾
MF 38 宮崎 泰右
MF 37 浜下 瑛
FW 16 榊 翔太
FW 49 アレックス

横山雄次監督

57分 久富→宮崎
57分 西谷優→浜下
72分 ヘニキ→アレックス

NACK5スタジアム大宮という最高の環境で見えた普段との違い

 

栃木は勝てばJ2残留が確定する一番だったが、昇格のためには絶対に勝点3が必要な大宮に手堅い試合運びをされて跳ね返された。栃木は失点後も粘りの戦いを見せたが、あの試合を同点にするなりして勝点を奪うには、まだまだ差があるなと感じさせられる試合だった。

 

序盤から大宮が左右のサイドでボールと人の出入りを繰り返すなかで、栃木のブロックに空いたスペースをどんどん使っていく。

栃木の守備はなかなかファーストディフェンスが決まらない。プレスに行っては叩かれ、また行っては叩かれ、という現象が続いていた。

 

「栃木は立ち上がりの失点が多いので、後ろのDFラインは後ろに引き込んで固めてゼロで乗り切りたいと思っていたが、前の選手たちは前からプレスに行きたいと。ピッチの中で意思疎通がバラバラになってしまっていた」

 

服部康平の証言である。確かに、DFラインと二列目の距離感がいつもより1,2メートルほど開いていた印象があった。大宮の選手たちがボールを動かしながらそのわずかなスペースを使いつつ、栃木の選手たちを前後させて動かすクオリティは見事なのであるが。NACK5の芝状態の良さも安定したパス回しとその自信を担保していたのだろう。

 

記者席から見ている限り、大宮の2トップの一角である大前元紀のポジション取りが巧みで、栃木のDFラインとボランチの背後をちょろちょろとしながら、時折、味方のボランチから縦に受けてはダイレクトで叩く、というポゼッションゲームのフリーマンのごとく自由人となって大宮のボール回しのリズムを作り出していた。

 

「大前選手が間に落ちてきて起点を作ることはわかっていた。自分たちの前で動かされている分にはいいよ、という共有だった」(横山雄次監督)

 

栃木のDFラインの前で動かされている分には大前経由で何本パスを回されてもいいよ、という共有である。

確かに、大前にボールが経由し、大宮のボール回しのリズムの良さは気になるのだが、栃木は相手にサイドを突破されかけても、最終的には中央を堅く閉じて決定的なシーンは作らせていなかった。その意味でいつもどおりだった。服部らDFラインの選手たちは大前を自分たちもボランチも潰せていないことが気になっていたようだが、大枠で見ればさほど問題ではなかった。

 

しかし、迎えた23分、栃木のDFラインの背後へ通された一本目のパスがこの試合を決めてしまった。

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