「栃木フットボールマガジン」鈴木康浩

「どのような状態で終われるか。何となく残留を達成して、その後連敗していいか、といえばそんな話ではありません」。強化部の現状評価/栃木SC新里裕之強化部長 1万字超インタビュー(前編)

新里裕之強化部長。インタビューは10月10日に実施した。

 

インタビューを実施したのは1010日。残り6試合で、勝点は45まで積み上げて、J2残留を濃厚とした時期だった。このインタビュー時点から栃木SC3試合を消化。38節甲府戦でJ2残留を確定させたが、39節終了時点で5戦勝ちなしと歯がゆい状態にある。「終わり方が大事」。チームの方々から聞こえる声だ。そんな直近の現状も踏まえつつ、このインタビューを読んでもらえるとより味わい深いかもしれない。

前編では3年ぶりにJ2を戦うチームの現状評価、後編では今後考える補強の方向性をテーマに話してもらった。では、さっそくどうぞ。

前編もくじ 

・なんとなく156位で終わるチームではないと思っている

現状では攻撃のところに100%の力を注いでいこうとはまだなっていない

・このクラブの通りにやると、必ず自分の存在価値が生まれる仕組みをつくっていきたい

・横山監督は優秀な監督だと思っている

・今になって若い選手がのびのびサッカーをやれている

・選手たちからも認められるような選手にならないといけない

「お金があればいいんでしょうけど、なくてもできる。それが僕らのやるべきことだと思います」。現在進行中の補強動向について/栃木SC新里裕之強化部長 1万字超インタビュー(後編)

■ここから来季への発展性が見えればいいなと

 

――現状、残り6試合で勝ち点45まで伸ばしています(インタビューは1010日に実施)。残り10試合の時点で40は超えているのですが、それについて強化部としては評価していますか?

 

新里強化部長(以下、新里) 正直、現時点では数字上の話として何も達成したわけではないので、評価はまだできないです。気を抜かずに戦って、数字上も含めて残留が決定すれば、そこで初めて評価の査定が始まると思っています。全試合を終えるときに、どのような状態で終われるか。何となく残留を達成して、その後連敗していいか、といえばそんな話ではありません。来季に向けて、良いスタートを切るためのものを残さないといけない。評価はすべてが終わってからです。

 

――今年の最低の目標がJ2残留でした。その次に「中位以上」という目標を掲げてやってきて、その間くらいに位置しています。この現状についてはどう思っていますか?

 

新里 目標は中位以上をしっかりと目指すことがプライオリティ・ワンでした。そして残留はもう絶対的な前提でした。クラブとしての計画もあるので、中位をしっかり取れる位置までがんばりたいのが本心としてあります。何となく15位とか16位とかで終わるようなチームではないと思っているんです。久しぶりのJ2の1年目。だからこそ大事な1年目という認識があります。あとは、他からの印象もあります。栃木は固いチームだという認識がもうあるので、来季の厳しさが見えてきます。であればなおさら、しっかりとした順位を取って締めくくりたい。その意味でいえば、現状の戦績には納得はいっていません。

ここまで守備をベースにしてきたクラブでありチームだからこそ、「今度は攻撃のところをどうするんだ」とフォーカスされやすいと思います。現状では攻撃のところに100%の力を注いでいこうとはまだなっていません。あくまで守備がベースなので、であるならばなおさら、もうちょっと結果が付いてきたらいいかなと思います。

 

――「ゼロで進めて隙を突く」という戦い方から「もっと攻撃的に」という思いは新里強化部長の中にもあったと思いますが、その意味で、現時点で思い描いていたチームづくりは、強化部長になられて監督を招聘して3年目がもうすぐ終わりますが、どういう手応えを感じていますか?

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