「栃木フットボールマガジン」鈴木康浩

【レビュー】栃木SC J2第40節カマタマーレ讃岐戦 久しぶりの快勝劇と降格圏の風景に思う。

2018明治安田生命J2リーグ第40節

2018年11月4日14時キックオフ Pikaraスタジアム
入場者数 2,883人(うち栃木サポーターはバックスタンドに約50人、メインスタンド約20人、合計約70人)
天候 晴、無
気温 18.3
湿度 50%
ピッチ 全面良芝、乾燥

カマタマーレ讃岐 1-2 栃木SC
(前半0-1、後半1-1)
得点者:26分 パウロン(栃木)、47分 浜下瑛(栃木)、76分 佐々木匠(讃岐)

<スターティングメンバー>

GK 1 竹重 安希彦
DF 42 パウロン
DF 19 服部 康平
DF 17 福岡 将太
MF 29 川田 拳登
MF 5 ヘニキ
MF 6 古波津 辰希
MF 26 夛田 凌輔
FW 9 大黒 将志
FW 14 西谷 和希
FW 37 浜下 瑛
控え
GK 33 石川 慧
DF 28 温井 駿斗
MF 20 端山 豪
MF 41 西谷 優希
MF 50 二川 孝広 
FW 16 榊 翔太
FW 49 アレックス

横山雄次監督

76分 大黒→アレックス
85分 西谷和→西谷優
90+1分 浜下→榊

2点を先行し、危なげなく逃げ切り

 

久しぶりに危なげない、快勝と言える試合だった。

相手の讃岐の置かれているチーム状況と、栃木の置かれている状況との差が出たように思う。

今季序盤の4節に対峙したときは、栃木が開幕3連敗、もう負けられない危機感の真っ只中で、試合は讃岐の原一樹の直接FKがポストをかすめてヒヤリとさせられるなど一進一退となったが、辛くも勝利した。

あれからだいぶ時間が経過し、それぞれの立場も変わった。

相手との相対的な差だろうか。今節の栃木の選手たちは実にのびのびとプレーできていた。それが内容や結果に表れた試合だった。

 

序盤の15分ほどは、浜下瑛のドリブルや古波津辰希の中盤での繋ぎのパスが相手にひっかかり、相手の縦に速い攻撃に対して慌てて帰陣を余儀なくされる展開が続いた。

だが、前節山口戦と異なり、ターゲットのヘニキがファーストボールの競り合いで五分以上の勝率を残し、「ヘニキとよくコミュニケーションがとれていた」という古波津辰希らがこぼれたセカンドボールに出足よく反応して拾っていき、流れを引き戻した。

 

迎えた26分、福岡将太のロングスローを相手DFが苦し紛れのクリアでCKに逃げる。栃木の狙い通りのプレーだ。

直後の西谷和希の右CKのアウトスウィングのボールに、中央でパウロンが頭で合わせて先制に成功。

相手の讃岐は完全なるゾーンの構えだった。CKをゾーンで守るときの弱点は、アウトスウィングのボールに上から叩くようにズドンと打ち下ろされることだ。「事前の分析でセットプレーでは栃木にアドバンテージがあるとわかっていた」。192㎝のパウロンにドンピシャで合ったアウトスウィングのボールは、上から強烈に打ち下ろされてゴール左隅に収まった。

 

栃木が1点リードしたあとは、互いの攻守の切り替えの速さ、ボールアプローチの速さ、球際の激しい身体のぶつかり合いが強調される展開となり、その結果、集中が続くなかでビッグチャンスは生まれずに折り返した。

 

それはハーフタイムを挟んだ後半開始早々だった。

キックオフ直後に讃岐の左サイドバックのアレックスがオーバーラップを仕掛けてクロスまでたどり着いたシーンがある。

「アレックスのオーバーラップはこの試合初めてですね」

DAZNの解説者が言っているとおり、アレックスが見せたこの試合初めての攻撃参加となったが、これが栃木の好機到来の引き金となった。

 

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