「栃木フットボールマガジン」鈴木康浩

【全選手レビュー2018】栃木SC 寺田紳一 アキレス腱断裂。そしてどん底からの再起。

40 MF 寺田紳一

2試合出場(102分)/2試合中0得点

 

アキレス腱断裂から復帰し、今季初出場を果たしたのが41節松本山雅戦、そして最終節アウェイのジェフ千葉戦に出場。この2試合、寺田紳一にボールが入れば、まずボールタッチが柔らかくピタリと足元に収まる美技で魅せ、顔を上げて前方を走る大黒将志に合わせるスキルの高さもまた魅せつけた。

少ない時間のパフォーマンスだったが、もし寺田紳一が今季をフルシーズンで戦うことができれば、大黒のゴール数も全体の得点数ももう少し伸びただろうと思わせるプレーぶりだった。

 

宮崎キャンプから戻ってきた2月だった。まだ寒さが厳しい練習グラウンドで寺田がうずくまったときは、傍から見ていた僕も何が起きたかわからなかった。だが、その後寺田が担架で運び出されたとき、ただ事ではないのだと察した。

「後ろで大きな音がしたので振り向いたが何も起きていない。起きたのは、僕のアキレス腱が切れたことだった」と衝撃の体験を告白した寺田。自身初となるアキレス腱の断裂は、突然、何の前触れもなく起こり、今季の寺田から試合出場という機会を根こそぎ奪った。

しばらくして冷静になり、病院のベッドの上で右足首を巻くギブスを見つめながら、本当に自分のアキレス腱が切れたことを実感したとき、寺田には諦めの気持ちが芽生えていた。昨年末で横浜FCをクビになり、その後移籍ウインドウギリギリで栃木との契約が決まり、また頑張ろうとの思いが強くなっていた矢先のアクシデントだった。

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