「栃木フットボールマガジン」鈴木康浩

戦術云々の前に「球際、走る、戦う」を求む。【J2第2節水戸ホーリーホック戦レビュー】(19.3.4)

2019明治安田生命J2リーグ第2節

2019年3月3日14時キックオフ ケーズデンキスタジアム
入場者数 5,939人(うち栃木サポーターはメインスタンドとゴール裏で合計712人)
天候 雨、弱
気温 9.1.
湿度 73%
ピッチ 全面良芝、水含み

水戸ホーリーホック 3-0 栃木SC
(前半1-0、後半2-0)
得点者:42分 清水慎太郎(水戸)、46分 茂木駿佑(水戸)、51分 前寛之(水戸)

<スターティングメンバー>

GK 50 ユ ヒョン
DF 15 森下 怜哉
DF 4 藤原 広太朗
DF 28 温井 駿斗
MF 29 川田 拳登
MF 40 寺田 紳一
MF 20 岩間 雄大
MF 44 福田 健介
FW 9 大黒 将志
FW 10 西谷 和希
FW 37 浜下 瑛
控え
GK 1 石川 慧
DF 30 田代 雅也
MF 5 ヘニキ
MF 6 古波津 辰希
MF 11 平岡 翼
MF 14 西谷 優希
MF 21 大﨑 淳矢

田坂和昭監督

46分 福田→田代
76分 温井→大﨑
88分 岩間→ヘニキ

(撮影は永島一顕)

この屈辱スコア、忘れるなかれ。(撮影は永島一顕)

(撮影は永島一顕)

▼勝負の大前提が不足したダービー水戸戦

去年の横山栃木のクロスボールからの失点はわずかだった。それだけ練習から相手のクロスボールへのタイトマークおよびセカンドボールへの反応を徹底して繰り返した賜物だった。横山雄次(現長野監督)は鬼になって選手たちを怒鳴りつけた。本当はプロ選手相手にそんなことはしたくなかったのだろうが、勝点を掴むために、残留を果たすために去年の栃木には必要だったから心を鬼にした。嫌われ役を買ったのだ。

だから、あれだけ自陣に引きこもった戦いをしながら失点を減らすことができた。今季よりもDFラインに高さはあったが、それ以上に勝負の“際”を押さえていたから、サッカーという勝負事の要所中の要所を押さえていたから勝点を奪えたのだ。見てくれの悪さはあっただろうが、今季、栃木がJ2で戦えているのは、昨季の選手たちが勝負の“際”に対して執念を見せて戦ってくれたおかげだ。それができない選手は自ずとベンチに入ることも難しい状況があった。

 

今季の田坂栃木は、去年までの横山栃木の堅い守りを踏襲することをベースにしている。3-4-2-1のシステムも踏襲したのは、しっかり守るときに5-4-1のブロックを築いて堅固に守ることをトレースするためだ。

だが、勝負の“際”がまだ徹底されていないようだ。高さがないというエクスキューズがあるにせよ如実に見えるクロスボール対応の脆さ、セカンドボールへの反応スピードや執着、ボールに対して身体を投げ出す泥臭さ。それらは去年のチームのほうが数段上だ。

 

第2節、ダービー水戸戦の3失点はいずれも酷いものだった。

42分の失点はシンプルなクロスボールに対してマークを外したもの。46分の失点はロングボールの落下地点の目測を誤ったもの。51分の失点はクロスボールに対して取るべきポジションを取っていないことによる失点だった。

 

確かに、両チームの戦術的な駆け引きはあるだろう。この日の栃木が、結果的に水戸のキーマンとなったFW黒川淳史のポジション取りに左サイドの守備が混乱を強いられていたのは事実。

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