「栃木フットボールマガジン」鈴木康浩

勝負に対する甘さを露呈し、衝撃的な逆転負け。【J2第20節愛媛FC戦レビュー】(19.6.30)

2019明治安田生命J2リーグ第20節

2019年6月29日18時キックオフ 栃木県グリーンスタジアム
入場者数 3,759人
天候 雨、無風
気温 21.3
湿度 90%
ピッチ 全面両芝、水含み

栃木SC 1-2 愛媛FC
(前半1-0、後半0-2)
得点者:45+2分 西谷和希(栃木)、85分 藤本佳希(愛媛)、90+4分 吉田眞紀人(愛媛)

<スターティングメンバー>

GK 50 ユ ヒョン
DF 27 久富 良輔
DF 4 藤原 広太朗
DF 30 田代 雅也
MF 29 川田 拳登
MF 26 枝村 匠馬
MF 5 ヘニキ
MF 14 西谷 優希
FW 19 大島 康樹
FW 10 西谷 和希
FW 37 浜下 瑛
控え
GK 23 川田 修平
DF 7 菅 和範
DF 28 温井 駿斗
MF 40 寺田 紳一
MF 32 荒井 秀賀
FW 42 イ レジュン
FW 9 大黒 将志

田坂和昭監督

68分 枝村→寺田
72分 西谷優→菅
87分 大島→大黒

(写真は永島一顕)先制するまでは良かったが…。

 

PKシーンや守備対応に見られた勝負に対する甘さ

74分のPK失敗が分岐点となったのは間違いない。

このときのキッカーは、45+2分にすでにPKを成功させていた西谷和希ではなく浜下瑛だった。西谷は「今後、(浜下)瑛が上でプレーするには、自分でPKを奪って自分で蹴るくらいのことをやらないといけないと思っている」とキッカーを譲った理由を語った。

だが浜下はこのときの心境を「自信はなかった」と試合後に明かしている。1本目にPKを奪取したときも一度断っていた。

主将の藤原広太朗の「PKは自信がある選手が蹴るべき」という言葉を借りるまでもなく自明の理。大黒将志が不在の中、前半に成功させたPKについて「自信はあった」と話した西谷和希がすんなり2本目も蹴るべき場面ではなかったか。

10番の責任云々などではなく確率論から成功する可能性が高い選手が蹴るべきなのは明らかだ。前節鹿児島に敗れた栃木は今節、2戦連続で、いわゆる6ポイントマッチとなる愛媛戦を迎え、絶対に落とせない状況だった。結果を掴み取るために毛ほども隙を見せてはいけなかった。この状況で『結果>浜下の成長』なのは言うまでもなく、しかし栃木は千載一遇のとどめを刺すチャンスを「自信がない」浜下のPK失敗でふいにした。

結果論だ。浜下が決めていれば今頃快勝の余韻に浸れていた。仮に西谷和希が蹴っていても外していた可能性は十分にある。実際浜下のPKを止めた愛媛のGK岡本昌弘はさすがのセーブを見せた。

納得できるかどうかの問題だ。「何が何でも結果を」と臨んだ一戦で、勝負に対する執着と、「自信がない」という浜下にPKを譲る行為が、つじつまが合わない。

スタッフ側の指示にも疑問府が付く。ここまで挙げた3勝のうち2勝は大黒将志のPKの1ゴールで勝ち切ったもの。得点力に欠ける栃木にとってPK奪取も何が何でも勝つための大事な手段である以上、さらに必ずキッカーを買って出る大黒将志がピッチにいないのだから、誰がPKを決めるかは明確に決めておくべきではなかったか。

 

こういう温いことをしているとサッカーは――という展開に案の定なった。なってしまった。

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