「栃木フットボールマガジン」鈴木康浩

闘う男の帰還、田代雅也がもがく中で掴んだもの。【PLAYERS Column】(19.9.10)

▼沈黙を破った闘う男

顔の傷はもはやトレードマークだ。

前節岐阜との裏天王山でスタメン出場した田代雅也は、強く、堅い、センターバックとして君臨した。後半途中には警戒するFW前田遼一との競り合いで目の上を負傷したが、すぐさま立ち上がってプレーを続けた。

「勲章が一つ増えただけですよ」

オフ明けの10日、田代はケガなど意に介せず快活なプレーを見せていた。

「岐阜戦は無失点という最低限のことはできたけれど、勝たないといけない試合でした。プラスαでもっとできたことがあるんじゃないか。それは試合に出たメンバー、出られなかったメンバー、みんなが感じた試合です。何より僕らは点が取れていない。僕自身、セットプレーでチャンスはあったし、そこを突き詰めるだけです」

 

闘う男がピッチに帰ってきた。スタメン出場は前期最終戦となった21節琉球戦(●0-3)以来、10試合ぶりだった。

田代は今季、試合に出る・出ないの波のなかを過ごしてきた。連続出場している時期に迎えた17節新潟戦(●0-3)は、後半途中に2枚目の警告で退場。出場停止から復帰した19節愛媛戦(●1-2)は試合終盤に相手の高さのある猛攻に屈して2失点、続く20節琉球戦(●0-3)も守備の修正が効かずに惨敗した。悔しさしかない屈辱の4連敗。田代は、その後出場機会を失った。

 

強烈な日差しがグラウンドを焦がすように照り付けていた。立っているだけで息苦しさを感じたが、田代は来る日も来る日もやるしかないんだと前を向いた。現実は、紅白戦でも3番手のチームに甘んじることも少なくはなかった。傍から見ていても、このままでは状況は厳しいように思えた。

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