「栃木フットボールマガジン」鈴木康浩

守り切ろうとするのではなく、勇敢に攻め続けて勝利せよ。【J2第36節ヴァンフォーレ甲府戦レビュー】(19.10.14)

2019明治安田生命J2リーグ第36節

2019年10月13日16時キックオフ 中銀スタジアム

入場者数 7,063人(うち栃木サポーターはバックスタンドに約50人。交通網が遮断される中、現地で応援された皆様、お疲れ様でした)
天候 晴天、無風
気温 25.0
湿度 42%
ピッチ 良芝、乾燥

ヴァンフォーレ甲府 1-1 栃木SC
(前半0-1、後半1-0)
得点者:8分 大﨑淳矢(栃木)、88分 アラーノ(甲府)

<スターティングメンバー>

GK 23 川田 修平
DF 27 久富 良輔
DF 30 田代 雅也
DF 36 乾 大知
MF 29 川田 拳登
MF 25 ユウリ
MF 5 ヘニキ
MF 45 瀬川 和樹
FW 16 榊 翔太
FW 21 大﨑 淳矢
FW 26 枝村 匠馬
控え
GK 35 浅沼 優瑠
DF 18 坂田 良太
DF 44 福田 健介
MF 14 西谷 優希
MF 24 和田 達也
MF 11 平岡 翼
FW 47 キム ヒョン

田坂和昭監督

82分 榊→和田 90+2分 川田拳→平岡 90+2分 ヘニキ→キム・ヒョン

守備陣は変わらず堅調だが、だからといって守り切るのではなく、攻め続ける姿勢が必要ではないか。

▼最後まで攻め続ける勇敢な戦士たちを参考に

帰宅後にすぐに映像を見返した。特にラスト10分の攻防は素晴らしかった。胸が熱くなった。

「選手たちは気持ちを入れて逞しく闘ってくれていますけれど、ラスト10分、守るんじゃなくて気持ちを見せて絶対にみんなで勝ち取ってくれると思います」

日本代表のリードは7点。スコットランドの1トライ1ゴールで同点という状況で、ブレイブ・ブロッサムズ(ラグビー日本代表の愛称)はボールに食らいつき、隙あらばターンオーバーによる形成逆転を狙っていた。今後の日本代表を担う、姫野和樹、福岡堅樹といった桜の壁たちが次々とスコットランドのボールに襲い掛かっていく。

「みんな走っています!」

「気持ちのディフェンス!」

「桜の壁です!」

「まさにワンチーム!」

「全員で! 全員で!」

勇敢な戦士たちを実況・解説陣が盛り立てた。全員がボールに襲い掛かり、姫野らが隙あらばジャッカル(タックルされた直後に相手選手から立ったままボール奪取すること)を狙う。ラグビー伝統国スコットランドの誇りを懸けた猛攻を食い止めるだけでなく、ボールを奪い取ると、すかさず攻めに転じる闘志を燃やし続けた。自信を持って自分たちの攻撃をぶつける姿に、解説が興奮した様子でこう叫ぶ。

「このジャパンは最後の最後まで攻める! そういうチームですね!」

4年前のW杯、初戦で南アフリカに大金星を挙げながら予選グループ敗退。その悔しさをバネに這い上がったチームの成長に目頭を熱くする様子が言葉に滲んだ。それを受けて実況もまくし立てた。

「日本は最後まで攻める! それを知っている場内も割れんばかりの拍手を送っています!」

80分、ついにノーサイドのホイッスルが鳴り響く。日本代表は7点差をキープしたまま逃げ切り、ラグビーW杯で史上初となる決勝トーナメント進出を決めた。7点差を耐えて守り切ろうとするのではなく、最後まで攻め続け、必死に追いすがるスコットランドを跳ね返したのだ。勇敢な戦士たちが見せた胸の熱くなる戦いに、横浜国際競技場は興奮のるつぼと化し、7万人超が狂騒に包まれていた。

 

ホームアドバンテージがあるにせよ、ラグビーの元弱小国・日本が見せている光景だ。 絶好の素材ではないだろうか。理屈ではない。どう守るかではない。机上のシステム論なんかでは到底ない。日本代表の雄姿には、勝ち切るために必要なものがすべて詰まっている。愛国心も相まって気持ちが熱くなる。そしてハッとさせられる。そこに直近2試合の栃木にプラスしたい姿勢や覚悟が見えるから。

 

J236節ヴァンフォーレ甲府戦。栃木は前半8分に大﨑淳矢のゴールで先行しながら、終盤に失点を喫し、2試合連続で逃げ切りに失敗した。J1昇格を争う相手に貴重な勝点1が獲れたことは事実だが、「勝点2を失ったもったいない試合」(大﨑)という印象が強い。

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