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「栃木フットボールマガジン」鈴木康浩

一丸で掴み取ったJ2残留劇から得たもの。来季の栃木が目指すべき方向性とは何か。【J2第42節ジェフユナイテッド千葉戦レビュー】(19.11.25)

2019明治安田生命J2リーグ第42節

2019年11月24日14時キックオフ フクダ電子アリーナ

入場者数 13,358人(うち栃木サポーターはゴール裏、メインスタンドに合計約1500人)

ジェフユナイテッド千葉 0-1 栃木SC

(前半0-0、後半0-1)
得点者:71分 田代雅也(栃木)

天候 曇り、弱風
気温 18.8
湿度 83%
ピッチ 全面良芝、水含み

<スターティングメンバー>

GK 23 川田 修平
DF 27 久富 良輔
DF 36 乾 大知
DF 30 田代 雅也
DF 45 瀬川 和樹
MF 37 浜下 瑛
MF 26 枝村 匠馬
MF 6 古波津 辰希
MF 21 大﨑 淳矢
FW 5 ヘニキ
FW 16 榊 翔太
控え
GK 35 浅沼 優瑠
DF 18 坂田 良太
MF 14 西谷 優希
MF 10 西谷 和希
MF 29 川田 拳登
FW 47 キム ヒョン
FW 9 大黒 将志

田坂和昭監督

69分 榊→大黒
78分 瀬川→川田拳
90+2分 大﨑→西谷和

(撮影は永島一顕)

(撮影は永島一顕)

(撮影は永島一顕)

(撮影は永島一顕)

(撮影は永島一顕)

(撮影は永島一顕)

(撮影は永島一顕)

(撮影は永島一顕)

▼フクアリに渦巻いた栃木の一丸

凄まじいチーム一丸だった。

試合前、田坂和昭監督は「コミュニケーションを密に取りなさい」と繰り返した。ベクトルが別々に向き、一丸になれずに低迷した今季。声を掛け合い、仲間を信じながら闘い始めたのは、残り10試合を切ってからだった。タイミングを重ねるように在籍10年のレジェンド廣瀬浩二が今季限りでの引退を報告。「浩二さんのために」という思いがチーム一丸をより促した。

勝たなければ終戦を意味する前節長崎戦の前には、遠征に帯同できない選手たちが送った激励の動画に、試合後、出場した選手たちとスタッフが肩を組んで「勝ったぞ!」と興奮した様子の動画を送り返すなどチームの雰囲気は最高だった。いや、最高の雰囲気に持っていこうとする機運に満ちていたこと自体がチームの成功だった。

「そうやって話にすると”くさいこと”に聞こえるかもしれない。でも今の俺たちには一番大事なことだから。今季はその大事さを痛感してきたのでね」(菅和範)

チームは新潟戦、大宮戦、長崎戦と激戦を潜り抜けて勝点を急伸させ、同時に揺るぎない自信を手にしていた。最終節千葉戦に向けたトレーニングは「サブチームが仮想千葉として非常によくサポートしてくれた」(田坂監督)という充実した紅白戦となり、これ以上ない準備ができた手応えがあった。キーマンであるユウリの存在の有無はもう関係なかった。俺たちがやってやるんだ――。強い責任がそれぞれの背中を押していた。

試合当日、決戦のフクアリにはバックアップメンバーも含む全選手、クラブスタッフら全員が駆け付けた。試合前、田代雅也はフクアリのピッチの感触を確かめようとピッチに立ち、スタンド席を見上げたとき、彼らのためにやってやる、との思いをより強くするほかなかった。栃木から逆転残留を信じてやまない約1500人もの栃木サポーターがアウェイのフクアリに駆けつけ、試合前から声を枯らし、ピッチ上の自分たちを鼓舞していた。試合直前には渾身の『突撃』も炸裂。フクアリを覆う屋根に跳ね返る栃木サポーターの大音量の声援が、ホームの千葉を圧した。チーム一丸、栃木一丸が最高潮に達していたことは誰の目にも明らかだった。

 

試合は想定どおりの厳しい展開だったが、土壇場の決戦でも選手たちは冷静だった。「長崎のように相手の攻撃が効果的だったかといえば、そうは感じなかった。長崎戦が良い経験になっていたし、落ち着いて対応できたと思います」(大﨑)。相手が絶妙な立ち位置を取ってきたことで、前からボールを奪いに出ていくことはなかなかできなかったが、それならばとブロックをミドルゾーンまで下げて、中を閉じながらサイドに追いやる守備がチームで徹底できていた。

「失点しないで1点を取って勝つイメージだったので、後ろに重くなったと思います。ただ、シーズンの中でそういう闘いになることはどこかであるし、対応はできました」(枝村)。

選手たちはプレーが途切れる度に声を掛け合い、やるべきことを確認した。その統一感はこの土壇場でも揺るぎなく、千葉にチャンスらしいチャンスを与えなかった。

だが63分、相手の後方からのフィードを前線の船山貴之に胸で繋がれ、クレーベに右足を一閃された。この試合二度目の千葉の決定機だったが、「ファーに来るかなという予測もありつつ、早く動き過ぎると逆を取られるので、打たれる瞬間まで我慢をして反応した」という川田修平の冷静なるビッグセーブで辛くも凌ぎ切った。

そうしてピンチの後にビッグチャンスが待っていた。

「ゴールが生まれる前辺りからだんだんと相手のペナルティエリア内に侵入できるようになっていたし、みんながペナルティエリア内に人数をかけていたのでチャンスだと」

枝村がそう感じていた勝負所だった。ベンチも「大黒を入れるタイミングを図っていた」(田坂監督)という後半の65分過ぎ。そして69分、ついに切り札の大黒将志を投入。

その直後の71分だった。右サイドの久富良輔からクロスボールが放たれた瞬間、大﨑淳矢がファーサイドからニアへと飛び込んだ。

「久富選手のクロスの質があまりよくなかったので(笑)、絶対にニアに来るだろうと。クロスがニアで跳ね返されて引っ掛かることがめちゃくちゃ多かったので、絶対にニアだと」

ニアに飛び込んでいった大﨑の視野は、自分の背後のファーサイドに回っていく田代の姿をとらえていた。

いけっ! という勢いで大﨑がフリックしたボールがゴール前を横切り、田代の前へ鋭く弧を描いていく。

(こい!)

田代は田代でファーサイドにボールがこぼれてくると予想し、気迫でボールを引き寄せようとした瞬間だった。ボールはゴール中央にいた大黒の背中に張り付こうとした相手DFの頭上を越えて田代の元へ。そして、田代が突き出した頭ごとねじ込むようにボールをゴールネットに突き刺してみせた。千金ゴールを決めた田代を押し倒し、そこに重なって歓喜する選手たち。総立ちになり抱き合うアウェイ席の黄色の応援者たち。

待望のゴールを手にした選手たちは、残り時間、気迫の守備でゴールマウスに鍵をかけた。後半アディショナルタイム。千葉のCKをニアでクレーベに触られるとボールはファーサイドへ。そこにはフリーになった新井一耀の影が。だが、ボールは頭一つ分だけ合わずにゴール前を横切った。最後の難は去った。その直後、試合終了のホイッスルは鳴った。

その数分後、20位鹿児島の敗戦を知らせるクラブスタッフが笑顔でピッチに駆け込んできた瞬間、選手たちが両腕を突き上げて喜びを爆発させた。笑顔満面で抱き合う選手がいれば、目頭を抑えながら嗚咽する選手がいる。ピッチに膝をつき神に感謝を伝える選手もいた。

逆転。未曾有の逆転だった。残り4試合の時点で残留ラインの20位鹿児島と勝点7差という絶望的な状況からの3勝1分、勝点40で並んでわずかに得失点差で上回る、Jリーグの歴史でも稀にみる大逆転の残留劇だった。

栃木の引分け数16は、金沢、町田と並んでリーグ最多。勝ち切れない試合が多い中、失点数53はリーグ11位、一試合最大失点数は3(合計6試合、鹿児島は5失点と6失点が2試合ずつ)。敗れても守備が大崩れしなかったことが得失点差に顕れ、最後に功を奏した。

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