「栃木フットボールマガジン」鈴木康浩

坂田良太が引退を決意した本当の理由。「自然とそういう感情になっていくのは自分でも驚きでした」【引退ロングインタビュー】(20.3.31)

栃木SCでは6年間プレー。17年に遭遇した、スポーツ選手として前例のない大ケガも乗り越え、不屈の精神でピッチに復帰して見せた坂田良太。復帰したあとも膝に負ったケガの影響は精神的にも決して小さくなかった。だが、坂田は昨シーズンの最大のハイライトである最終節千葉戦の当日まで「引退」をまるで考えていなかった。それを翻意させたものは何だったのか。

 

自分でも思いがけず溢れた涙
千葉戦まで「現役続行」だった

 

昨シーズンが終わる1カ月前、自分の評価をクラブに聞きに行きました。10月23日だったと思います。ずっとベンチには入らせてもらっていたけれど、試合には出られない状況での評価が聞きたかったんです。その時は今年(2020 年)もサッカーを続けたいと思っていたので。聞けば、チームとしては「選手としての契約は満了」ということでした。それまでの経過があったので、それを踏まえて話をしてくれたのだと思います。

僕はサッカーを続けたかったので、その後すぐに代理人をつけてもらったんです。僕自身、その後は気持ち的にずっとモヤモヤしていたので、そんな状態だったからか、それからはベンチメンバーに入ることもできなくなりました。ある程度はプレーができるけれど、正直にいえば、最後の際の勝負が怖いとか、少し痛いとか、身体の状態にはずっと葛藤がありました。リハビリをずっとやってきて、やっと復帰をして、まだまだサッカーを続けたいという本心がある一方、全力でプレーできない自分に対して葛藤がありました。僕は今までずっと上を目指してやって来たので、サッカー人生で“ある程度”というのが許せなかったんです。やるのであれば上を目指す、J1を目指してやる。ずっとそう思ってやってきたので、選手として契約満了と言われてからは、気持ちがモヤモヤしていて、どう振舞っていけばわからないところがありました。

そういう状態から一カ月が経過した、昨シーズンの最終節千葉戦の前日の朝、田坂(和昭)監督に呼ばれました。僕はそれまで監督に呼ばれることなどなかったので、怒られるのかなという気持ちもありました。でも、田坂監督はこう言ったんです。「お前の本心はどうなんだ?」と。

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