「栃木フットボールマガジン」鈴木康浩

「状況が改善されたときに何をやるのか、その準備を今からしておくことが重要」クラブの収益減をいかに解消するのか?/栃木SC 橋本大輔社長ロングインタビュー(20.4.22)

 

新型コロナウイルスの猛威は止まず、2月下旬からリーグ戦は未だにストップしたままだ。長期戦の様相を呈する中、ホームゲームを開催できない各Jクラブは収益減に見舞われ、かつてない苦境に立たされている。すでに欧州には破産宣告するクラブも出てきている。栃木SCは大丈夫なのか? 栃木SCはこの難局に対してどう立ち向かおうとしているのか? クラブの橋本大輔代表取締役社長に話を聞いた。(インタビューは4月14日に実施した)

 

▼まず優先すべきは自分たちの生活を守ることだと理解した

 

――Jリーグがリーグ戦の再開予定を「白紙」とするのは4月に入ってすぐでした。栃木SCもそれを受けて、トップチームの一時的な活動停止を発表しました。

 

橋本 あれは4月3日でした。午前中にNPB(日本プロ野球機構)とJリーグの連絡会議があり、午後にJリーグの臨時対策会議を15時からスタートする、との連絡がありました。その日、15時から会議に出席したのですが、正直なところ、僕はその会議に臨むに当たって無観客で実施される方向でいくと考えていたんです。しかし村井満チェアマンがメディアブリーフィングで語ったように「専門家の皆さんのトーンが変わっていた」と話をされました。僕自身はその変わりぶりに驚いたというのが正直なところです。

その臨時対策会議での報告を受けて、翌日4日土曜日にクラブの各部長を集めて、5月末まで試合がなくなったのでこの先2カ月間をどう乗り切るのか、という話し合いをしました。

各部長との話し合いの前に、僕自身はプロ野球とJリーグと専門家を交えた連絡会議の映像を見たのですが、結論から言えば、僕はその映像を見ながら怖くなってしまったんです。専門家の皆さんの話を聞いていれば、村井チェアマンの話が間違いではなかったことがわかりました。専門家の皆さんのシリアスなトーンが日本が危機的な状況であることを伝えていました。その映像は僕だけが見ていたので、他の参加者と温度感が違ってはまずいと思い、各部長を集めたときに、まずその1時間半の映像を観てもらったんです。同じ温度感でなければ話が噛み合わないと思ったので。そうやって誰もが事の重大さに気がついたという状態でした。その映像は翌週に各部署ごとに時間を取って見てもらいました。

(残り 6922文字/全文: 7886文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

日本サッカーの全てがここに。【新登場】タグマ!サッカーパック

会員の方は、ログインしてください。

1 2
« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ