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「栃木フットボールマガジン」鈴木康浩

【無料掲載】黒﨑隼人に立ちはだかったプロデビューまでの苦悩。「この1年半、僕は本当に濃い時間を過ごせたんだと思います」【トピックス】(20.8.28)

▼1年半におよぶ苦悩の連続

「長かったなと。やっとデビューできたんだ、という思いがあります」

昨年のシーズン冒頭に患ったケガからの再起。この間、手術を二回施すことになる大ケガからのカムバックだった。

13節FC琉球戦。アウェーの蒸すような暑さのなかで黒﨑隼人はスタメンとしてピッチに立った。久しぶりの実戦とあって、後半から脚が攣りそうになるのを何とか堪えながらも、75分に同点とされた直後には根性で足を前へと踏み出し、勝ち越し弾に繋がるプレーで貢献。プロデビュー戦を90分間フルタイムで闘い切った。

1年半におよぶ苦悩の連続だった。

「昨年、地元出身の大卒ルーキーということで注目してもらっていながらケガをしてしまったのですが、そのときに僕の母校の法政大学の同期の選手たちが活躍する姿が飛び込んできたんです。北九州のディサロ(燦シルヴァーノ)、岐阜の長倉颯、今年大分に加入した吉田舜。彼らが活躍する姿を見ながら、俺だってやれる、早く試合に出るんだ、という気持ちばかりが先走ってしまって……」

ケガをした患部の状態が良くなってきたと感じられる週があり、「これならばいけるぞ」と前向きな気持ちになった翌週には一転して患部の状態が思わしくなくなる――。

「なんでだ、どうしてだ、という気持ちに振り回されていたし、どうしたらコンディションがうまく整ってくれるのか、かなり悩まされました」

昨年の暮れに、黒﨑はもう一度患部にメスを入れることを決意。そうして迎えた今季だったが、もうこれ以上長引かせることはできないという危機感が黒﨑を変えた。

「絶対に試合に出たいからこそ、しっかりと身体と相談しながら毎日に向き合う。そう思えるようになっていました。少しでも痛ければしっかりと休む。やれるならばしっかりとやる。トレーナーと相談をしながら時間を過ごすなかで、だんだんとコンディションの波が少なくなっていったんです。そしてついにデビュー戦を迎えることができた、という流れでした。今振り返れば、この1年半、僕は本当に濃い時間を過ごせたんだと思います。今、SCの後輩たちでケガをした選手がやっぱり無理をしてしまう姿も目にするんですけど、自分の経験から『痛いならば治す。やれるときはやる。焦らないほうがいいよ』とアドバイスができるようになりましたからね」

デビュー戦となった琉球戦は、酷暑のなかでフルタイム出場となるタフな戦いとなったが、ケガをした患部のリバウンドも思っているよりも少なかったことに安堵する思いだった。

宇都宮の自宅では家族がDAZNを通じて我が子の雄姿を見届けてくれていた。「メンバーに入ったよ」。1年半もの間、もがき苦しんできた息子から伝えられたとき、母は涙を流しながら喜んでくれた。父が珍しく多弁になって語りかけてくれる様子には今までずっと気を遣って見守ってくれていたのだと思い知った。今週のオフには昔から通い続けている美容室で髪を切り、次に向けてリフレッシュした。馴染みの美容師さんもプロデビュー戦翌日に出演したラジオを聞いたよといい、祝福してくれた。

黒﨑は言う。

「これからは、この1年半分を取り戻してやるぞ、という気持ちです。ずっとサポーターの人たちが待ってくれていた分、出られる試合には全部出て、ピッチで恩返しをしていかないといけないと思っています。僕がこうしてピッチに復帰できたのも、色々な人たちの支えがあってこそです。しっかりと闘い、たくさん試合に勝って、栃木のみんなが喜べるような状況をたくさん作りたいと思っています」

 

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