「栃木フットボールマガジン」鈴木康浩

うまくハマった「後半勝負」と「諦めない」反発力が呼び込んだ怒涛の3ゴール&大逆転劇。【J2第36節 ファジアーノ岡山戦レビュー】(20.11.26)  

2020明治安田生命J2リーグ第36節

2020年11月25日19時キックオフ シティライトスタジアム

入場者数 1,909人

ファジアーノ岡山 2-3 栃木SC

(前半1-0、後半1-3)
得点者:15分 上門知樹(岡山)、61分 有馬幸太郎(栃木)、76分 清水慎太郎(岡山)、79分 田代雅也(栃木)、87分 矢野貴章(栃木)

天候 晴れ
気温 11.3
湿度 73%
ピッチ 良

<スターティングメンバー>

GK 22 塩田 仁史
DF 33 黒﨑 隼人
DF 23 柳 育崇
DF 30 田代 雅也
MF 17 山本 廉
MF 5 岩間 雄大
MF 14 西谷 優希
MF 15 溝渕 雄志
FW 8 明本 考浩
FW 18 森 俊貴
FW 9 エスクデロ 競飛王
控え

GK 1 川田 修平
DF 4 髙杉 亮太
DF 6 瀬川 和樹
MF 25 佐藤 祥
FW 19 大島 康樹
FW 34 有馬 幸太郎
FW 29 矢野 貴章

55分 山本→有馬
55分 岩間→佐藤
71分 溝渕→瀬川
71分 エスクデロ→矢野
81分 西谷→大島

▼セカンドボールを支配されて攻撃できない前半

前半は岡山、後半は栃木のゲームだった。

試合前に田坂監督が「似ているタイプ」と表現したとおり、序盤から”蹴り合い”が色濃いゲームとなった。

そうなると落ちるセカンドボールに対する局面バトルの勝敗がカギを握るのだが、優勢だったのは岡山だった。

僕は戦況を見届けながら福岡との試合を思い出していた。”蹴り合い”に躊躇なく飛び込んでくる相手との戦いは福岡戦同様、ハイプレスが効果を発揮しにくいので、そう簡単にはいかない。そしてリスタートがゲームを動かすのがお決まりなのだが、やはり15分にCKのこぼれ球から上門にゴラッソを決められてしまった。

 

岡山はこの戦い、FWで出場することが多い齊藤和樹を右SHにスタメン起用してきたが、特に前半はセカンドバトルのキーマンになっていた。

岡山の2トップはイ・ヨンジェと赤嶺の二人。まず二人のバトルが強いので、田代や柳も容易には弾かせてくれなかった。それだけでも十分なパワーだったが、落ちるセカンドボールにはインサイドに顔を覗かせる齊藤がパワーを発揮する。さながら3タワーのような力技の連続だった。

そして、セカンドボールに対する岡山のボランチ、パウリーニョと関戸の出足も非常に速く、強かった。そこで奪ったボールを落ち着いて捌かれると、栃木は徐々に守勢を強いられた。

29分過ぎのシーンが象徴的だが、栃木は前線でエスクデロが起点になって攻める形も作るのだが、黒﨑が上げたクロスボールのセカンドボールに対して、競っているのはインサイドに絞ってきた右SH齊藤に対し、栃木は左ボランチ西谷だった。ミスマッチが生じる競り合いで勝つのは齊藤であり、こぼれたボールにはトップから降りてきた赤嶺が身体を張って味方へと繋げてマイボールにしている。本来ならば栃木がクロスボールのセカンドボールを拾って二次攻撃に繋げたい局面だが、栃木はこういったセカンドバトルでのマイボール回収率が上がらず、攻撃回数そのものを確保できなかった。

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