「栃木フットボールマガジン」鈴木康浩

栃木SCの闘将、菅和範の引退に寄せて。【トピックス】(20.12.10)

 

偉大なる7番が次のステージに踏み出す決断をした。

10日、栃木SCは菅和範の今季限りでの引退を発表した。

ついにこのときが来てしまった。先日の群馬戦にベンチ入りし、最後に今季初出場を果たしたが、試合後に目を真っ赤に染めていた。そして、昨季限りで引退した廣瀬浩二氏の家族らとともにグリスタでのラストショットを撮影していた姿から想像はできた。

正直、考えがまとまらないままこの原稿を書いている。ご容赦ください。

両手を叩いて周りを鼓舞する菅和範。彼がピッチに入ればたちまち空気が変わる。闘う漢。闘将。栃木SCの魂そのものだった。菅和範がここで引退するという事実は、彼と密に繋がってきた人たちからすれば、あまりにも大きい。

栃木SCに加入したのは2012年。それから9シーズンをプレーした。ピッチ上、ピッチ外、色々なことがあり過ぎて何を書いていいか正直分からない。僕自身、それだけ菅和範と密だったのだと思い知らされる。

どのシーズンも気づけばレギュラーを掴んでいた。ケガをしたりミスをしたりしてベンチから長く外れたとしても、どんな苦しいシーズンだとしも、結局はシーズンの最後には菅和範がレギュラーの座を掴んでいた。心の強さだとか、魂の強さだとか、結局のところ、プロの世界でもっとも大事なのはそれなのだと強く認識させられた選手、それが菅和範だった。

2017年の愛鷹決戦、J2復帰を成す千金同点弾を決めるネイツ・ペチュニクに出したあのラストパス。横山栃木がJ2でケガ人続出のピンチに陥っていたとき、急遽スタメンで不慣れなCBに起用されながらJ2得点王のイバにマンマークで張り付いて封じた魂のプレー。

決してうまくはなかったが、魂があればどうにかなる。そうやって何度でも立ち上がったのが菅和範だった。試合に出れば、僕らが期待する”菅和範のプレー”を必ず体現した。田坂監督に「栃木SCにはずっと流れているDNAがある」と言わしめたのも菅の存在あってこそだ。栃木SCに流れるDNAを菅が薄めることなく継承してきた。

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