「栃木フットボールマガジン」鈴木康浩

菊池大介の強気やポジティブさがチームにもたらすもの。【トピックス】(21.3.5)

▼強気のプレーの連続で相手エースを封殺する

宣言どおりだった。さすがは菊池大介だった。

開幕戦岡山戦では急遽、右サイドバックで起用となったが、関係なかった。そのプレーにはまるで淀みがなかった。

菊池の目の前には、岡山のハイクオリティアタッカーの上門知樹がいたが、立ち上がりから強烈なマークで封殺した。

「若いチームなので緊張もすると思う。自分は勇気のあるファーストプレーをしたり、球際に寄せたり、走るスピードで見せたりしながら、みんながついてくるようなプレーがしたい」

緊張感があり、やや堅くなっていたチームの中で、相手のエースを潰し続けるプレーは圧巻だった。それを開幕戦という舞台で、不慣れな右サイドバックでやってのけたことに菊池大介という選手の存在価値が見えた。

「僕は開幕戦を重要視していて、勝つことでチームが勢いに乗ると思っている」と話していたが、願いは叶わなかった。それでも菊池は惨敗した開幕節の試合後に徹頭徹尾、ネガティブなコメントを出さなかった。

「負けはしたが、色々な課題が出てよかった」

5分近くに及んだオンライン会見を菊池はそう締めている。

思えば、今年の新体制会見の席で菊池は、かつてノーマークだった12年の湘南がJ1昇格を果たしたときのエピソードを持ち出し「あの時の湘南の雰囲気に今年の栃木は似ている」と語った。印象に残るコメントだったのは間違いなく、その後、僕自身も記事にしたし、周りの関係者からもあのときの菊池のコメントは良かったですねなどと感想を聞くことがあった。

言霊という言葉がある。良い言葉を発することで現実の事象にも良い影響を与える、という言い伝えのようなものだ。その逆もまたしかりである。菊池自身、その実践者のように思える。

4日のトレーニングの練習の締めである『1分間スピーチ』の出番は菊池だった。

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