「栃木フットボールマガジン」鈴木康浩

内容は今季ベスト。首位新潟戦でできたこと、不足したもの。【J2第9節 アルビレックス新潟戦レビュー】(21.4.22)

2021明治安田生命J2リーグ第9節

2021年4月21日19時キックオフ カンセキスタジアムとちぎ

入場者数 2,951人

栃木SC 2-2 アルビレックス新潟

(前半1-1、後半1-1)
得点者:8分 矢村健(新潟)、24分 森俊貴(栃木)、56分 面矢行斗(栃木)、90+2分 千葉和彦(栃木)

天候 晴れ
気温 15.2.
湿度 20%
ピッチ 良

<スターティングメンバー>

GK 1 川田 修平
DF 5 柳 育崇
DF 22 小野寺 健也
DF 26 面矢 行斗
MF 2 吉田 将也
MF 14 西谷 優希
MF 41 松本 凪生
MF 10 森 俊貴
FW 11 ジュニーニョ
FW 29 矢野 貴章
FW 13 松岡 瑠夢
控えメンバー
GK 15 岡 大生
DF 36 乾 大知
MF 17 山本 廉
MF 37 上田 康太
FW 19 大島 康樹
FW 27 五十嵐 理人
FW 34 有馬 幸太郎

36分 西谷→上田
54分 松岡→有馬
75分 ジュニーニョ→山本

 

▼スーペルゴラッソで幕開け

強烈な幕開けだった。

8分、新潟のゴラッソが炸裂。右クロスを中央で待ち構えた矢村健がオーバーヘッドキックで捉え、栃木のゴールネットを揺らした。あれだけ芯で捉えた見事なオーバーヘッドのゴールは数年に一度のレベルだ。

試合が再開すると、新潟ベンチからしきりに「動かせ! 動かせ!」という大声が響いていた。ときおり「ファウルで止めてくるぞ!」との声も。

矜持と矜持のぶつかり合いだった。

そして、想定以上だった。あんなに前で新潟ボールを引っ掛けられるとは思っていなかった。

 

前半は新潟が背後へのボールをほとんど入れてこなかったことも功を奏した感はある。

「動かせ! 動かせ!」という声の下、新潟の選手たちは繋ぎに絶対に自信をもっていたのだろう。だが、栃木の圧力の前に、ボールの流れは横方向に終始していた。肝心な縦パスが入るシーンがほとんどなく、入っても栃木のボランチの西谷優希や松本凪生がタイトな守備で封殺。

35分、西谷が負傷離脱するアクシデントがあったが、途中投入された上田康太も気合いが入っていた。2節までのそれとは雲泥の差だった。

「球際やセカンドボールへの強度がないと試合には出られないと思って練習してきましたから。少しは体現できたかなと思います」(上田)

栃木は中央のルートを封鎖しながら前からプレッシャーを掛け続けた。新潟のキーマンである本間至恩、高木善朗にボールを入れさせないタイトかつコンパクトなディフェンスができていた。

「引いて相手を引き込んでしまうと相手の攻撃の良さを出させてしまう。田坂監督も試合前日や前々日のミーティングで『とにかく前に出て、プレスを剥がされたら戻ればいい』と言っていました。そこは特に意識してプレーできたと思います」

6試合ぶりにスタメン出場を飾った右SB吉田将也は、前半、同サイドの本間至恩から自由を奪えている手応えを感じていた。

 

新潟がここまでの対戦相手の中で、個々の技術や立ち位置の取り方が一番しっかりしていたのは間違いない。プレッシャーをかけても不用意にボールを失わない。ビルドアップにも自信を感じさせた。後ろはできるだけ2枚のCB(+GK)で回しながら、状況を見ながら1枚のボランチがヘルプで降りるという形。

だが、新潟の後ろが2枚回しなのか、3枚回しなのかを判断し、栃木がプレスの枚数を瞬時に変えながら粘り強く、一歩も引かずに圧力を掛け続けると、新潟にチャンスらしいチャンスを作らせずに試合を運ぶことができていた。

 

新潟に唯一突破口を与えていたとすれば、最終ラインから右SB藤原奏哉にフィードが入るルートだ。相手CBや相手GKから左SH森俊貴の頭上を越えて落とす正確なフィードを入れられ、右SB藤原に前へ持ち出す時間を与えてしまったのが10分。右SB藤原が、左SH森も、左SB面矢も、アプローチが届きにくい絶妙な立ち位置を取っていた。

 

 

16分に松本凪生が高木善朗に激しくプレスに行ってイエローをもらってしまったシーンも、右SB藤原にフィードが入るとき、面矢がアタックにいく判断をやや躊躇してしまい、藤原から高木への縦パスを許してしまった流れからだった。松本の苦し紛れの対応がイエローカードに繋がった。

対応が求められていた左SB面矢行斗が振り返る。

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