「栃木フットボールマガジン」鈴木康浩

露呈した勝負に対する甘さ。必然の逆転負け。求められる原点回帰。【J2第12節 ギラヴァンツ北九州戦レビュー】(21.5.7)

2021明治安田生命J2リーグ第12節

2021年5月5日16時キックオフ カンセキスタジアムとちぎ

入場者数 3,487人

栃木SC 1-2 ギラヴァンツ北九州

(前半1-0、後半0-2)
得点者:25分 矢野貴章(栃木)、59分 髙橋大悟(北九州)、90+5分 富山貴光(北九州)

天候 晴れ
気温 19.4
湿度 71%
ピッチ 良

<スターティングメンバー>

GK 1 川田 修平
DF 5 柳 育崇
DF 22 小野寺 健也
DF 26 面矢 行斗
MF 13 松岡 瑠夢
MF 37 上田 康太
MF 41 松本 凪生
MF 10 森 俊貴
FW 11 ジュニーニョ
FW 29 矢野 貴章
FW 19 大島 康樹
控えメンバー
GK 15 岡 大生
DF 36 乾 大知
MF 16 菊池 大介
MF 17 山本 廉
MF 25 佐藤 祥
FW 32 畑 潤基
FW 34 有馬 幸太郎

54分 ジュニーニョ→山本
60分 松本→佐藤
84分 森→菊池

 

▼自分たちは強いと勘違い?

試合後の記者会見。PCの画面上に現れた田坂監督がZoom越しにも怒り心頭であることがわかった。語気を荒げながら言った。

「初めてじゃないですかね、こんなに緩い試合をしたのは」

「1点を奪ったあとに勝ってもいないのに自分たちの戦術以外のことをしているし、勝ってもいないのに全然追加点を奪いにいかない」

怒りに震える指揮官の様子を見ながら、2試合前の金沢・柳下正明監督の試合後の記者会見を思い出していた。

「チームが狙いとする攻撃をやり続けられるかどうかだった。しかしそれが継続できない。自分たちを強いチームだと勘違いしているのか、格好つけるようなプレーもあった。一方、栃木は自分たちがやるべきことをやり続けて勝点1をとった」

田坂監督、柳下監督が言わんとするのは同じことだったと思う。

90分間徹底してやり切れ、ファイティングポーズを下げるな、なぜやらない? 何を格好つけているんだ、自分たちはうまくなったとでも思っているのか――

 

田坂監督は「勝負の重みが分かっていない」と言った。「修羅場をくぐってきている矢野貴章だけはわかっている」と。

勝負の綾はいつどこに潜んでいるかわからない。ましてや、相手の北九州は試合2日前にコロナ陽性者が発生するアクシデントに見舞われていた。田坂監督は「北九州は必ず一体感を引き上げて戦ってくるぞ」と選手たちに警戒感を高めるように伝えたが、果たして、試合は難しいものになった。

 

25分、栃木が矢野貴章のゴールで先制した。そこまでは良かった。だが、その後の流れが淀んだ。わずかな淀みだったが、それまであった前向きの勢いが減退したのは明らかだった。対する北九州の一体感が伴ったハードワーク、パスワークのうまさに徐々に浸食されていった。

 

田坂監督が言う。

「先制点を獲ったあとにバックパスする場面が多かった。選手たちに聞くと『プレッシャーをあまり感じず、時間がある分、繋ごうとしてしまった』と。背後を狙っている選手がいたが、パスが出てこないシーンもあった」

スタンド席で見ていた西谷優希はこう感じていた。

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