【福田正博 FUKUDA’S EYE】Jリーグ1stステージ第7節・名古屋戦レビュー&浦和のACL敗退短感(2015/4/29)

浦和を楽にした名古屋の起用法

名古屋グランパスと対戦するに際して、浦和レッズにとっては川又堅碁と永井謙佑の2トップの方が嫌だったかもしれない。川又はペナルティボックス内で力強いプレーをし、永井はスピードのあるアタッカーで、いずれも浦和にとって脅威となる選手だ。しかし名古屋の西野朗監督は負傷明けでようやくコンディションを取り戻しつつあるノヴァコヴィッチをセンターフォワードの位置で先発させ、川又と永井を両ウイングの位置に据えた。これによって脅威となる選手が浦和ゴールから遠ざかることになり、浦和は楽に試合を進めることができた。

西野監督が川又や永井の使い所を見誤った理由は分からない。ノヴァコヴィッチを先発起用することで彼のコンディションを向上させたかったのかもしれない。また名古屋はヤマザキナビスコカップの清水エスパルス戦から中2日で浦和戦に臨んだため、清水戦に出場しなかったフレッシュな選手を起用したかったのかもしれない。

実際、名古屋の各選手は動きが緩慢でコンディションが悪いように見えた。本来ならばもう少し運動量豊富な選手たちが多いはずだが、躍動感が見られなかった。カウンターの威力もそれほどなく、名古屋の低調ぶりが影響して、浦和は攻勢を仕掛けながらもしっかり守備陣形も整えられていた。

浦和はAFCチャンピオンズリーグ・グループリーグ第5節の水原三星戦で敗戦してグループリーグ敗退が決まったゲームから中3日でのゲームだった。選手たちはACLで敗退した悔しさをぶつけるような形で名古屋戦に臨み、気合いの入ったプレーを見せたと思う。ゴールへ向かう意識が高かったのはひとつのタイトルを早くも逃した責任を痛感し、緊張感を高めた結果だと思われる。浦和はまだ国内の3冠(リーグ、ナビスコカップ、天皇杯)を狙えるわけで、その成果を成し遂げるために、今のチームは一枚岩になっているのだろう。

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