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本当の彼

長く続いた沖縄での強化キャンプ。選手たちは練習の辛さを時に言葉や態度で表現する。では、ひょうきん者と評される森脇良太はどうだったか。

サービス精神旺盛な彼は、周囲に促されれば大声を張り上げて仲間を鼓舞する。コンビで行うフィジカルトレーニングでは相棒の興梠慎三をオーバーアクションで盛り立てる姿があった。

「いいよ、いいよ、慎三、そう、そう、そうだ、できる、できる、あと少し、あと1回、がんばれー!」

でもそれは、彼の真実を照らしてはいない。本当の森脇は寡黙で無骨で、少しだけ小心者で、それでも仲間への親愛に溢れていて、どこまでも生真面目な人間だ。

森脇のプレースタイルはDFとしては異質で特異だが、ミハイロ・ペトロヴィッチ監督体制のチームでは欠かせない戦力だ。守備面では果敢なアプローチとボール奪取を貫徹し、攻撃時には巧みなポジショニングでサイド攻撃を活性化させた上で、卓越したフィード能力で展開に幅を生み、ゴール前へ切れ込んで自らシュートも放つ。指揮官のサッカースタイルを具現化させるピッチ上の体現者。それが純然たる森脇のチーム内評価で、ペトロヴィッチ監督は彼に全幅の信頼を置いている。

森脇は2017シーズンのJリーグ第1節・横浜F・マリノス戦でMF齋藤学との1対1に敗れて失点に関与した。特にダビド・バブンスキーの先制点に至る過程では彼が齋藤にアプローチした瞬間に抜き去られて守備網を決壊された。それでも森脇は積極的守備を止めない。それは彼自身が自らのストロングポイントを十全に理解し、それを喪失させた時にプロサッカー選手の終焉を迎えることを認識しているからだ。

 

普段の森脇は黙々とトレーニングに励む。笑いもしないし、言葉も発さない。

「(笑)。それはね、言葉も発せないほど練習が厳しいからなんですよ。何か言ったらその場に倒れてしまうんじゃないかってくらい。練習に集中していないとやりきれないから。普段の僕は大人しいんです、ええ。信じてもらえないかもしれないけど(笑)」

9歳下の関根貴大が言った。

「そうそう。皆の印象と違って、普段のモリくんは本当につまらないんですよ」

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