3得点の破壊力と拙い2失点、阿部の体調も気になる【島崎英純】2017Jリーグ第8節・コンサドーレ札幌戦レビュー
札幌の浦和対策
ミハイロ・ペトロヴィッチ監督は浦和の指揮官に就任して以降、過去ワーストのゲームに2012年10月6日Jリーグ第28節のコンサドーレ札幌戦(●1ー2)を挙げることがある。シーズン終盤のリーグ優勝争いの中で、すでにJ2降格が決まっていた札幌に埼玉スタジアムで屈した試合内容は到底納得できず、何よりチームが相手の力量を見誤って気力を尽くさなかったことに苦言を呈した一戦だ。それ以来、ペトロヴィッチ監督体制のチームは油断や慢心を極力生まずに真っ向勝負する精神を貫いている。
今回札幌は、その2012年以来5年ぶりのJ1返り咲きで浦和と対峙することとなった。四方田修平監督は戦前に、「ある程度守備をしっかりと安定させながら、相手の隙を突いてカウンターで得点を狙う、そういうテーマを持って臨みました」と語っている。
また四方田監督は自チームのシステムについても言及している。
「攻撃は3ー4ー3で、守備は5ー4ー1という並びで戦いました。浦和がサイドチェンジを非常に多用してくるので、振られたときに3人の中盤だと追い切れないというところで、4人で守備をしながらと考えました」
興味深かったのは、守備時に1トップへ入るのがFWの都倉賢に限らず、シャドーの兵藤慎剛が前に張ることがあった点だ。都倉は時に左サイドエリアへ降りてきて、同じく右サイドエリアへ入る菅大輝と共に守備ブロックを形成するシーンがあった。その場合はスピードを有する兵藤がカウンター時の急先鋒となり、何らかのアクションを起こす形だ。また守備時の陣形ではアンカーの荒野拓馬がバックラインに入り込まず、MF宮澤裕樹と共に中央エリアへ陣取ってスペースを埋めていた。札幌はこれまでのゲームで荒野ひとりが中盤中央に定位したが、今回は浦和仕様で宮澤も控えさせる形で、これは浦和が仕掛ける後方からの縦パスを遮断する狙いがあったと思われる。
しかし、札幌はそれでも浦和の攻撃を抑えられなかった。
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