【無料掲載】2017明治安田生命J1リーグ第13節・川崎フロンターレ戦[ミハイロ・ペトロヴィッチ監督][監督コメント]

◯ミハイロ・ペトロヴィッチ監督
試合前から川崎は最近、調子が良いことは分かっていました。前半は相手に対して前からプレッシャーにいくような形にチャレンジしましたが、それがうまくいったシーン、そうでないシーンがありました。ただ、そうした前半のチャレンジをしている中で、ああいった形で失点をしてしまうと、非常に難しい展開になります。1失点目も、2失点目も、非常にもったいない失点だったと思います。

後半、いつもの形に戻して、0-2でリードされている中でも1点、そして2点と返して、逆転するような展開にしたかった。試合をコントロールし、いつ得点が生まれてもおかしくないシーンをいくつも作れていました。そういう中で、1点を返した後も2点目を取れるチャンスも十分にありました。試合をコントロールしながら、後半は我々が押し気味に試合を進められていたと思いますが、残念ながら相手のヘディングをそらされた後ろをつかれて、PKを与えてもったいない3失点目を喫してしまいました。

0-2でリードされる非常に厳しい展開の中、選手たちは最後まで諦めずに全力で戦ってくれたと思います。ただ、今日だけではなく、ここ最近、喫しているような形での失点を繰り返してしまえば、どんなゲームにおいても勝利することは難しいです。

Q 最近の非常に厳しい状況をそのまま見るような試合だったが、その中で少し改善できたところは?
1-4で負けた試合の後では、何を言っても納得いくようなコメントにはならないでしょう。後半に関して言えば、川崎よりもベターなプレーが多くできていたと思いますが、チャンスを決めきれない状況が多い中で、ミスから失点してしまうことを繰り返してしまいました。今、前向きなコメントをしても、みなさんに納得してもらうのは難しいかもしれないです。

前半も、我々がリードされるような展開の中でも関根や興梠のシュートなど際どいシーンは作れていました。そういう中で、1点目も2点目も遠藤とマキの間を通されるパスから失点してしまいました。そして、3点目は相手の長いボールをヘディングでそらされたところからの失点でした。なぜ、そういうことが起こるのか、それはいろいろな理由を挙げることはできるかもしれませんが、なぜという部分に関しては本当の答えはなかなか見つからないと思います。

そういったことが繰り返される状況は決して良いこととは言えません。ただ、プロの監督として、私は選手たちに責任を押し付けるつもりはありません。結果に対する責任は私にあると思っています。もちろん、こういう状況の中で、どういう風に今後、打開していくのか、クラブも非常に何かを考えていくような状況かもしれません。それもサッカーの世界かもしれません。

監督も選手も、いずれはいなくなっていくものですが、クラブは常に存続していく、常に重要な存在です。今、チームは悪い状況ですが、前半戦を終えて首位とまだ10ポイントの差で、決して追いつけないポイントだとは思っていません。そういう中で、必ず調子を取り戻して、連勝していける可能性は十分にあると思っています。ただ、そういう中でクラブを率いる上層部はやはり考えていかないことがある、それも我々の世界です。ただ、一つ言えることは、決して我々は下を向いてはいないということと、決して諦めてはいないということです。

昨日は森保監督が退任しましたが、過去5シーズンで3回優勝した監督でさえ、結果が出なければ去っていく、それがサッカーの世界の厳しさであると思います。そういう世界で仕事をしていることは、ジャーナリストのみなさんにもご理解いただきたいと思いますし、我々の仕事は例えば、靴を磨く布が汚れてしまえば捨てられてしまうような仕事で、過去の結果では生きられないのが監督の仕事です。

Q 前半は前からプレッシャーにいく形にチャレンジしたと言ったが、具体的には?
川崎は阿部浩之選手が1トップをやる形ですが、基本的には0トップに近いと思います。前線にいる阿部選手、森谷賢太郎選手、小林悠選手は非常に動きのある選手で、それに加えてトップ下に中村憲剛選手がいます。そういう中で我々の普段の3バックだと、中村選手を捕まえにくい状況が生まれます。

今日の試合は比較的、登里享平選手と小林選手が比較的内側にポジションを取るので、阿部選手のところを遠藤航選手と槙野智章選手が見て、そして、宇賀神友弥選手と森脇良太選手がそれぞれ森谷選手と小林選手を見て、うちの阿部勇樹選手が中村選手につく形を取りました。うちの関根貴大選手、駒井善成選手が内側のポジションを取りながら、相手のサイドバックに対して出ていき、横にスライドするような狙いを持った守備でした。相手は非常に動きがあり、捕まえにくいポジションを取ってくるチームですので、相手の前の選手を捕まえやすい状況で守備がしたいという狙いでした。

私は決して、それほど悪かったとは思っていません。守備に関しては、ボールを奪ってショートカウンターができたシーンもありました。相手のチャンスは少なかったですが、その少ないチャンスを2回、生かされた得点でした。攻撃に関しては、普段の我々の狙いとするような攻撃の形はいつもより少なかったですが、それでも十分に得点に繋がるようなチャンスは作れていたと思います。

失点して0-2でリードされる展開になってしまったので、後で振り返ってみると、うまくいっていなかったのではないかという印象は残りますが、そこまで我々の戦術的な変更が悪かったとは思っていません。

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