混乱、戸惑い、瓦解。一人ひとりが責任を果たすとき【島崎英純】2017明治安田生命J1リーグ第13節・川崎フロンターレ戦レビュー

■システム変更の意図

浦和レッズは前日練習で試した4-1-3-2で川崎フロンターレ戦に臨んだ。

システム変更の動機は守備の整備にある。リーグ戦では9試合連続失点中で、直近の3試合はジュビロ磐田戦・4失点、サガン鳥栖戦・2失点、サンフレッチェ広島戦・3失点と複数失点が続いている。ミハイロ・ペトロヴィッチ監督が志向する3-4-2-1システムは大概の対戦相手に対して局面ギャップを生み出すが、現状ではそれが守備面の不安定化に繋がっていると判断し、局所でのマッチアップによってマンマーク守備を徹底させたい意図があった。

ただ、僅かな時間でのシステム変更は混乱を生んだ。守備時は当然4バックで、アンカーの阿部勇樹とともにサイドMFの駒井善成と関根貴大が中央に絞ってポジショニングし、その前のトップ下・柏木陽介と2トップ・興梠慎三&ラファエル・シルバも中で構えた。俯瞰するとバックラインを底辺とするピラミッド型になる。ペトロヴィッチ監督は中央エリアの守備に緩みがあると判断して急所の中央エリアを埋める策に出たわけだ。ただ、選手たちが役割を把握するには至らず、例えば駒井が一旦サイドへ開き、我に返って中央へポジション修正するなど、身体に染み込んだ習性を払拭するのに苦労する様子もうかがえた。

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