【無料掲載】2017明治安田生命J1リーグ第18節・アルビレックス新潟戦[ミハイロ・ペトロヴィッチ監督][監督コメント]

◯ミハイロ・ペトロヴィッチ監督
勝利しなければいけないという、我々の目的が達成されたと思います。

Q 川崎戦後に進退をかける発言をしていたが、リードされた時の心境は?
それが事実だとしても、私が生き残った、ということですね。川崎戦に話が戻りますが、川崎とは日本にきてからずっと対戦してきています。私が率いるチームは川崎との対戦、特にアウェーではあまり相性が良くないのは事実です。1-4で負けるという結果を見ると、我々が川崎に完敗したという見方をされると思いますが、私自身は川崎よりも我々の方がベターな戦い方をしていたと思います。もちろん結果が大事なのはわかります。

川崎とのこれまでの対戦を振り返ると、川崎は我々に対して3回、4回決定的なシーンを我々の守備を崩した形で作っていました。ただ、反対に今回の対戦に関して言えば、1点目、2点目、3点目に関しても守備が崩されたような失点の形だとは思っていない。それぞれの失点を振り返っても、十分に戦術的に対応できるだけの人がいました。我々のチームが川崎に与えたチャンスはそれほど多くありませんでした。ただ、結果を見る限り、我々は1-4で負けたので完敗という強い印象を受けますが、私はメディアの方たちが見るような評価では試合を見ていません。

もう一つ言いたいのは、私が敗戦後にサポーターのところに行って、サポーターの批判を受ける中で、レッズの記事を書く方々が私の対応を見て笑っていたような状況を、私は決して見逃していません。浦和の記事を書く方々であれば、もちろん浦和に対して愛情を持って記事を書いていますよと、表面上はそういう振る舞いをするでしょう。ただ、私はメディアがどういう方々なのか、わかっています。もちろん全ての方がそうだとは思っていません。ただ、そういうものを私は実際に見たということは事実です。

まず、最初にサポーターのところに行った場面で私が言いたいことは、サポーターに呼ばれて行ったわけではありません。バスのところに行って、たばこを吸っていたら、インタビューが終わってバスに乗り込む選手たちに対して、サポーターが非常に大きな声で批判をしていました。その姿を見て、私自身が行かないといけないと思いました。大きな声で批判される選手たちを見て、私自身がサポーターの前に行って話をしないといけないと思いました。

サポーターの方々は怒っていましたけど、私は冷静に話ができる状況になれると思いましたし、クラブの方々は心配していましたけど、私は通訳さえいれば話ができると思いました。

私は勝った後にサポーターの前に行って、勝利の喜びを表現するタイプではありません。ただ、負けて選手たちが批判される、そういう状況に陥った時は私がサポーターの前に行って、話をしなければいけないと思う、私はそういう人間です。

私は新潟に負けたら、まず最初に去るという話をしました。ただ、その場面で何を言いたかったと言えば、クラブの方々、社長から社員まで、この5年半、非常に私とともに、素晴らしい仕事をしてくれました。そういう方々に対して、非常に大きな圧力がかかる場面で、私はその圧力を自分に向けたかった、そうすることでその圧力を自分に向けて、そういった方々に圧力がかからないようにしたい、そういう思いがあったからこそ、そういう発言になりました。

私は非常に、これまで厳しい人生を送ってきました。人生の半分以上を外国で暮らしてきましたし、その中で自分と家族が生きていくために戦ってきました。その中で私とともに戦う選手、チームがいて、そのチームを見捨てて自分だけが楽になろうとは思いません。

我々、この5年半で一番ポイントを取っているチームです、それは間違いないです。私が率いる6シーズンで4回ACLに出て、今年は8強に残っています。2ステージ制が導入される前に、浦和のサポーターは2ステージ制になることにとても反対していました。その時に彼らが言っていたのは、年間の勝ち点を取ること、それが真のチャンピオンだと。それを彼ら自身が言っていました、ほとんどの方は忘れていると思いますが。2016年の最もポイントを稼いだチームは我々です。我々はルヴァンカップを手にし、年間勝点を最も多く取った、リーグで優勝したチームです。

そう考えれば、2016年は浦和の歴史の中で最もいいシーズンだったと見てもいいでしょう。この5年半でクラブはレッズランドに2つ人工芝を張り替え、あと1カ月ちょっとで大原には新しいクラブハウスができあがります。そこで選手たちは食事を取り、仮眠を取ることができる、そういう環境をクラブを作ることができます。

ベンゲル監督、彼は21年アーセナルで戦っています。私はこの浦和で少なくとも10年は戦いたい、そういう強い気持ちを持っています。私自身のアイデアとしては、浦和レッズのアカデミーを日本でナンバーワンに作り上げたい、そういうアイデアも持っています。

私とクラブの絆は深く、互いにリスペクトする思いが強いです。誰が私をこの浦和から去ることを決めるのか、それは見ている人たちではない、ストリートにいる人たちではない、そしてメディアでもありません。唯一、クラブだけが私を解任することができます。私の浦和への愛は非常に深く、大きいです。少なくとも今の年俸の5倍はあるオファーを何度も受けましたが、それでも私はここを選択しました。

この1月22日に母が亡くなりました。2日前に母と電話することがありました。本来であればすぐにでも飛んで、母のもとに駆けつけたい思いはありましたけど、母が私に言ったのは「今はトレーニングキャンプ中だ。いかにあなたが自分の仕事を愛していて、自分のクラブを愛しているか、私は分かっている。だからこなくていい、それが私の最後の言葉」ということです。

だからこそ、私は自分の力の最後の一滴まで、このクラブに注ぎます。それがこの前の川崎戦の延長にある話です。

Q 今日の勝利は浦和のスタイルというよりも、選手の強い気持ちで2点取れたと感じられるが?
今日のゲームで改めて分かったことは、こういう難しい状況にチームが陥ったときに、はい上がっていくのは他のチームよりも難しいということです。我々は今日も失点しましたが、その失点の理由「なぜ?」ということがなかなか説明のつかない失点でした。

前半は非常にアグレッシブに戦い、チャンスをクリエイトする中で、いつ得点してもおかしくないシーンがいくつもあったと思いますが、それを決め切れない、あるいはゴールに嫌われるような状況でしたし、その中で相手のワンチャンスでの得点でした。リードされる展開の中で、後半、選手たちは非常に落ち着いて自分たちがやるべきことをやってくれた、それは非常に良かったと思います。本来であれば、ああいう状況の中でロングボールを無駄に蹴ってしまったり、あるいは全員が前掛かりになる中でカウンターを受けたりすることは、我々のチームだけでなく、多くのチームで起こるシチュエーションです。その中でも、みんなが落ち着いて自分たちがやるべきことをしっかりオーガナイズを崩さずやってくれた、それが良かったのではないかと思います。

選手たちは非常に強い気持ちを持って今日の試合に臨み、そして強い気持ちを持って戦い切って、勝利をもぎ取ってくれたと思います。ただ、何人かの選手たちは非常に疲労がたまっている状況、そして、なかなか本来の調子が出ていない状況なのも確かです。まだまだ厳しい状況は続くと思いますが、我々は必ずここからはい上がってみせると私は思っています。

決して忘れてはいけないのは、水曜日に非常にハードな川崎戦があったあとの中3日での試合であったということ。3連戦の最後の非常に厳しいゲームでした。新潟は1週間空いてのゲーム。この高い気温、そして湿度が高い中での試合ではその辺の違い、アドバンテージとディスアドバンテージが大きいというのは、皆さんも十分に分かるのではないかと思います。

Q 今日の勝利により、次にC大阪に負けても辞任しなくてすむ?
まず、監督としての哲学、それは自分がこのクラブに10年残って仕事をしていく、そういう気持ちで、そういう考えの元で仕事をしています。ただ、反対に、結果が出なければ明日にでも解任されてしまう、そういう仕事でもあります。今の我々の状況を説明すれば、我々は船に乗っている、その船のキャプテンは私で、その船には小さな穴があいています。いかにその穴を修理して、航海を進めていくか、それが必要な状況です。ただ、みなさんも知っていると思いますが、船が壊れて沈みそうな時、その時に一番最後に船を降りるのはキャプテンです。

私はクラブの方々と非常に強い信頼を持って仕事をしています。その中でハッキリ言えるのは、クラブの決定、それに対して100パーセントのリスペクトを持つことです。私がどうあるか、それはクラブが決めることです。

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