【無料掲載】2017明治安田生命J1リーグ第21節・ヴァンフォーレ甲府戦[吉田達磨監督][監督コメント]

◯吉田達磨(甲府)
ホームでG大阪、浦和と優勝を狙うチームと迎えての2連戦、2連勝を狙ったわけですけど、残念ながら0-1で敗れました。僕たち、久しぶりに4日前の試合で勝利をして、同じメンバーでこの試合に臨みました。久しぶりに勝利とともに小瀬からの楽しい帰り道というのを先週は作れましたけど、今日は同じような気持ち、ハッピーな気持ちにみなさんをさせられずに本当に悔しいです。

前半の10分を見て、静かな試合になるだろうと。自分たちも崩れてはいけないし、相手も攻撃にエネルギーをバリバリ出す感じではなく、シンプルにサイドに起点を作って、裏にランニングして、時々危ないクロスが飛んできて、セットプレーがいくつか続きましたが、それでも自分たちが崩れているところはなかったんですけど、縦パスにうまく入り込まれて、柏木くんのシュート自体はスーパーなゴールで、ゴールを分類すればスーパーなゴールは年に何回かあって、その中の1つに入ると思います。

シュート自体、シュートを打つタイミング、飛んだ場所、そういったものは彼の技術、想像力、サッカーを楽しんでいる気持ちも称えるしかないですし、あのシュートを目の当たりにして少し、自分たちの何かをそがれてしまったというか、少しガクッとして、自信がなくなったというところはその後のマイボールの時間を見れば明らかでした。普段、落ち着いてサッカーをしよう、何かをやろう、いいアイデアを持とう、そのために描いたものを現実に披露するためにトレーニング1つ1つを大事にしようとやっている中で、本当にいとも簡単に、自分たちが努力しても身につかないものをポンとやられてしまったわけで、それは僕もサッカーをやったことがあるのでガッカリするのはわかります。その差を見せつけられたゴールだったと思います。

前半、あまりにも静かだったというか、あまりにも向かっていく姿勢がなくなったというか、そういう感じだったので、ハーフタイムに選手たちにはがんばろう、もう少しやらないといけないんじゃないかという話をしましたし、おそらく選手もそう思ってピッチに立ったと思います。1点を取らないといけない展開だったとはいえ、選手たちはよく走りました。走るだけがサッカー選手の仕事じゃないだろと言われればそのとおりで、でも狙って、走って、5分がすぎるまではほぼ自分たちが一息つく間もなく、プレッシャーをかけ、前にボールを出して追いかけるという時間を後半立ち上がりに作れたことは、差があっても、自分たちが勢いを45分持続するというところにつながったと思います。

負けるにも負け方はあって、もし前半のように後半もプレーをして、意気消沈したまま終われば、本当に何の希望もなく、絶望的な負けになったでしょうけど、後半は選手たちがしっかり顔を上げて、点差が1点だということを思い出したかのようにプレーしました。キレイにシュートまでもっていくシーンはなかなか作らせてもらえませんでしたけど、新戦力の高野が入って、クロスのシーンも4回くらいあって、橋爪も右サイドから攻撃を活性化して、ひるまずに戦うことを選んで、島川もセカンドボールを取って展開力でいいものを出し始めて、小椋も相手にボールを渡した分は取り返すという気迫を見せましたし、田中佑昌もかなり疲労がある中で前半で疲れるかと思いましたけど、最後まで走る姿勢を見せました。

前半、あれだけイージーに倒れていたドゥドゥも後半はちゃんと地面に立ってプレーしましたし、ウイルソンもファイトし続けましたし、リマ、阿部は安定感を後半見せましたし、新井涼平は争いで一度も負けませんでしたし、新里は攻撃参加、スピード対応でよさを見せました。河田は、僕らが珍しく相手陣内に行っている時間が長かったけど、集中を切らさずに声を出す仕事をやってくれたと思います。

これだけの選手たちが前半、後半で違った一面を見せました。何があっても、ショッキングなことがあっても、何かを見せつけられたとしても、やりつづけないといけないし、選手名鑑を見れば浦和と甲府でいろんな違いは出てきますけど、ピッチに立ったら11対11の男同士の戦いなので、怯む必要もなければ、クオリティにいくつか差はあっても大きな差はないということ、そのためには少しでも走ったり、すかしてサッカーをするんじゃなくて、全身でサッカーをすることを表現することが大事だということを僕も選手も理解できれば、この負けは絶望的な、どうしようもないものではなくて、次の札幌、広島、残りのゲームすべてにつながっていくものだと思いました。

話が飛び飛びであっちにいったり、こっちにいったりしていますけど、とにかく後半に選手たちが見せたファイト、賢さ、鋭さ、欲を忘れないようにして、今度は中3日、しかも昼の1時で起きてすぐ試合をするような時間ですけど、札幌戦に今持っているものすべてをぶつけて、今日できなかった勝利を北海道までくるファン、サポーターのためにも、山梨から応援してくれるファン、サポーターのためにも、一丸となって勝利をつかみにいきたい。とても長くなりましたけど、以上です。

Q 新戦力の高野選手の評価は?
初めて出て、合流したのが連戦の合間のG大阪戦の前で、彼をみんなの前で紹介するのを忘れちゃってて。僕は紹介もたくさん受けていて、つい最近、昨日に自己紹介をさせたという、少し僕らの不手際で事務が遅れてしまいましたが、選手たちは正直どういうプレーヤーで、どういうやつで、というところが選手たちはあまり分からない状況でした。

その中でも、トレーニングで見せていた左足のキック、前に行こうとする欲というか、それは今日見せていました。阿部翔平はいい安定感とキックを持っていますが、高野が入ったことで左からの鋭さも出ると思いますし、それこそブラジル人選手たちは名前も知らないと思いますけど、いいやつが入ったんじゃないかとは思ったと思います。

阿部翔平と高野はまるで特長が違うので、しっかり今日彼が見せた左からの鋭さ、あとは試合に出る欲望というか、何とかしたいというところはしっかり見せてくれました。評価としては、これだけの短期間の中でという割にはよくやってくれたと思いますし、それこそ次につながるパフォーマンスを見せてくれたんじゃないかなと思います。

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