窮地を乗り切り逆転勝利。攻撃力復活の要因【島崎英純】2017Jリーグ第24節・清水エスパルス戦レビュー

相次ぐ負傷離脱の窮地で

 8月5日のJリーグ第20節・大宮アルディージャ戦から指揮を執る堀孝史監督は課題の守備を整備すべく練習を積み重ね、チームはコンパクトネスの維持とスペースケアを終始徹底させてきた。ただ、攻撃から守備へのバランス修正はセーフティファースト、専守防衛の意識が働いて自慢の攻撃力が影を潜めるようになった。特に試合中盤から終盤に掛けては相手に攻勢を奪われて防戦一方になるシーンが相次ぎ、指揮官、選手は共に新たな課題の克服に取り組んでいた。しかも守備構築の徹底を図ったにも関わらず、チームは新体制で臨んだリーグ戦3試合で無失点ゲームが第21節・ヴァンフォーレ甲府戦(○1-0)の1試合のみ。大宮戦では2失点、FC東京戦では1失点していて、現象面だけでなく数字面でも目に見える改善を求められていた。

 対する清水エスパルスは負傷者が続出。2トップの鄭大世、チアゴ・アウベスはいずれも欠場で、DF犬飼智也、MF河井陽介も長期離脱中で出場が叶わず、新加入のMF増田誓志も今週の練習で左もも裏を痛めてベンチからも外れた。その他、MF竹内涼、FW長谷川悠は今週の練習で一時別メニューに回りながら強行出場。GK六反勇治は発熱で1日練習を休むなど、ベストメンバーを組めない苦しい布陣で浦和戦に臨んだ。

 かたや浦和も近年になくケガ人が続出している。DF森脇良太、那須大亮、MF柏木陽介、MF宇賀神友弥、FWズラタンと、これまでチームを支えてきた主力選手が相次いで戦線離脱する緊急事態。ただ、堀監督は選手選考を含めて刷新を図っていて、清水戦では右サイド・梅崎司、ボランチ・矢島慎也を今季リーグ戦初先発させ、左サイド・菊池大介らと共にフレッシュな陣容を組んだ。また前線トライアングルは1トップ・興梠慎三にシャドー・武藤雄樹&ラファエル・シルバの組み合わせ。懸念はラファエルの連係向上だが、この課題が払拭できればチームは新たな武器を手に入れられるだけに期待感が募った。

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