システム変更で生まれた功罪、柏のカウンターに屈する【島崎英純】2017Jリーグ第25節・柏レイソル戦レビュー

堀監督はシステム変更を決断

 変わった部分と変わらない部分がある。

 浦和レッズの堀孝史監督はシステムを4-1-4-1に変更した。YBCルヴァンカップ準々決勝のセレッソ大阪戦を経て、チームには中5日のインターバルが与えられた。今後もタイトなスケジュールは続くが、ここで一息付けたことで、堀監督は非公開練習を通して新たな戦略を練り、チーム全体で訓練を重ねたに違いない。そのトレーニング内容はうかがい知れないが、ピッチ上の選手たちの所作を見ると、かなり細部まで指導が成された形跡がある。特に前半はシステム変更した浦和に戸惑った柏レイソルが守勢に回ったため、チームが狙いが表れたようにも思える。

 浦和の新たなシステムを検証してみよう。GKは西川周作。バックラインは4バックでセンターに阿部勇樹と遠藤航、右サイドバック・森脇良太、左サイドバック・槙野智章の布陣。中盤はアンカーに青木拓矢、その前のインサイドハーフに右・矢島慎也、左・武藤雄樹が並び、ワイドに張るウイングのような形で右にラファエル・シルバ、左に高木俊幸が配備され、1トップに興梠慎三が入った。特徴的なのはアンカー+2インサイドハーフの形と、ウイングのふたりがサイドに張り続けるのではなく中央へ絞る形も見せてゴール前へ入り込み、空けたサイドスペースへサイドバックがオーバーラップするメカニズムだろうか。

 ただ、ビルドアップの形は3-4-2-1から可変する以前のシステムとほぼ変わりなかった。最後尾に阿部と遠藤のふたりが並び、サイドバックの森脇と槙野が高い位置を取る。以前はストッパーが擬似サイドバック化したが、今回は純然たるSBが押し上がるわけだ。そしてアンカーの青木が中盤に定位して阿部、遠藤と逆三角形のポジションを取る形も同じ。しかも新システムではアンカーが最後尾に降りずにプレーし続けるのがノーマルな役割なので、青木が無闇にバックラインへ吸収されて中盤が不在になる形にはならなかった。ただし、以前のように相手が2トップの際に『3枚回し』でリスク管理する形は取らず、今回のようにディエゴ・オリベイラとクリスティアーノの2トップを採用する柏に際しては浦和センターバックが相手と数的同数になるミスマッチもあった。

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