ラファエルゴールで上海撃破! 浦和10年ぶりの決勝進出!【島崎英純】AFCチャンピオンズリーグ準決勝第2戦・上海上港戦レビュー

ラファエルのゴールで先制

 浦和レッズは非常に落ち着いたスタートを切った。GK西川周作のゴールキーピングが冴え、4バックのセンター・阿部勇樹&マウリシオ・アントニオは1トップのエウケソンとトップ下のオスカルにスペースを与えない。両サイドバックの遠藤航と槙野智章は頻繁にポジションチェンジするフッキとウー・レイを上手く監視して縦への突破を防ぎ、アンカーの青木拓矢が相手ボランチのオディル・アフメドフとツァイ・フイカンの侵入をケアした。またインサイドハーフの長澤和輝と柏木陽介が献身的にプレスバックするので、浦和の4-1-4-1は適切なポジションバランスを保てた。サイドハーフの武藤雄樹とラファエル・シルバ、そして1トップの興梠慎三は窮屈な局面でのプレーを強いられたが、それでも前半の試合展開は浦和が思い描いた流れだったように思う。

 しかも浦和は11分に柏木の左CKからラファエルがヘディングシュートを決めて先制できたことで一層ゲームプランを貫徹しやすくなった。如何に上海上港の攻撃陣が強力と言えども、4トップとそれ以下が激しく間延びする相手中盤に脅威は感じない。必然的に外国籍選手と中国代表FWウー・レイの個人技に頼らざるを得ないわけで、浦和は相手の狙い所を絞ることができた。

 上海上港のチームバランスは歪(いびつ)だった。元々攻撃陣と後方の間にスペースを生む傾向はあったが、今回は第1戦でアウェーゴールを奪われていたためにアタッカーたちが気を急いて一層前後分断が激しくなった。工夫が見られたとすればフッキが右サイドから中央、左サイドと頻繁にポジションを移動させる点だったが、それも浦和はチーム全体の共通理解に則った受け渡しマーキングで自由にさせなかった。フッキは第1戦で槙野の徹底マークに辟易していたため、今回のエリア移動はネガティブなプレーアクションだったのだろう。エースがフレキシブルにピッチを移動することで1トップのエウケソンや左ウイングのウー・レイも頻繁にポジションスイッチするしかなく、彼ら自身の持ち味を消していったのは皮肉な現象だった。もしフッキが槙野のマーキングを嫌がるのならば明確にウー・レイとポジションを変えた方がまだチームバランスを維持できたかもしれない。しかし、ヨーロッパのビッグクラブで指揮を執った経験のあるアンドレ・ビラス・ボアス監督はチーム内の秩序を保てずに主力選手の意向を尊重し過ぎた。

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