【緊急コラム】日々雑感−浦和から見て、日本代表5人選出の意義を考える

浦和から5選手が代表へ

 11月初旬から中旬にかけての国際Aマッチウィーク。日本代表は11月10日にフランス・リールでブラジル代表、14日にベルギー・ブルージュでベルギー代表と対戦する。10月31日、この欧州遠征に参加する日本代表メンバーがヴァイッド・ハリルホジッチ監督から発表され、浦和レッズからはGK西川周作、DF槙野智章、MF遠藤航、長澤和輝、FW興梠慎三の5人が選出された。前回のニュージランド代表、ハイチ代表との親善試合では槙野と遠藤のふたりしか選ばれなかったが、今回は復調してきた西川が返り咲き、AFCアジア・チャンピオンズリーグ準決勝・上海上港戦での活躍が目覚ましかった長澤が代表初選出され、Jリーグの得点王争いでトップに立つ興梠が2015年9月のロシア・ワールドカップ・アジア2次予選・カンボジア代表戦以来、2年1か月ぶりに代表復帰を果たした。

 プロサッカー選手にとって各国の代表に選出されることは格別な名誉で、多大なモチベーションにもなる。また、国際大会への出場で新たな見地を得てプレー、スキルのレベルアップも図れるなど、選手個人としては様々な効能がある。そして何より、選手は国の威信を背負って戦うことで精神面の充実と鍛錬に繋がり、人間形成にも寄与して自らの人生に彩りを加えられるだろう。

 代表に選出されるか否か。これは日本でサッカーをプレーしている選手にとってエポックメイキングな出来事である。選手は時の代表監督に見染められてスカッド(チーム)の一員に任命されれば意気に感じるし、激しい闘志にも駆り立てられるはずだ。しかも今回は来年のロシアワールドカップ本大会に向けた大事なテストマッチの機会で、相手は10月現在でFIFAランキング2位のブラジル、そして同5位のベルギーである。しかもベルギー戦に至っては相手のホームで究極のアウェーマッチであることから、日本代表に選ばれた選手は誰もがブリュージュのヤン・ブレイデルスタディオンのピッチに立ちたいと願うだろう。

 一方で、この時期の浦和は今シーズンで最も重要なゲームに臨もうとしている。ACL決勝のアル・ヒラル戦(サウジアラビア)。第1戦は11月18日にサウジアラビアの首都リアドのキング・ファハド・スタジアムが舞台。そして第2戦は25日に浦和のホーム・埼玉スタジアムで実施される。浦和は5日にJリーグ第32節・鹿島アントラーズ戦(@鹿島)を戦った後のインターバルで対アル・ヒラル戦に向けたトレーニングを重ね、アウェー環境に順応するために早めに中東へ入り(時期、場所は未定)、現地で調整して決戦に臨むプランを考えている。しかし今回、日本代表に5人が招集されたことでチーム全員が揃って訓練する時間を取れず、チーム構築の過程で不備が生じるかもしれない。

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