真紅のスタジアムで、浦和レッズ・アジア王座奪還!【島崎英純】2017AFCアジア・チャンピオンズリーグ決勝第2戦・アル・ヒラル戦レビュー

明確な指揮官の意図

 真紅に染まった埼玉スタジアム。10年ぶりのアジアタイトルへ向けて、浦和レッズは前年度のサウジアラビア・プレミアリーグ覇者のアル・ヒラルと対峙した。

 サウジ・リヤドで行われた第1戦は1-1のドロー・ラファエル・シルバが先制ゴールをマークし、相手エースFWのオマル・ハルビンに同点ゴールを許したものの、その後の相手の猛攻を凌ぎ、貴重なアウェーゴールを携えて埼玉へ戻ることができた。このアドバンテージを生かせるか否かは第2戦の所作次第。勝負所のゲームを落としてきた近年の浦和が正念場で脱却を図り、確固たる結果を得られるか否か。堀孝史監督の采配に俄然注目が集まった。

 まず、スターティングメンバーが記されたシートを見ただけで浦和の指揮官の意図が読み取れた。下馬評では第1戦を累積警告で欠場したマウリシオ・アントニオが先発に復帰してキャプテンの阿部勇樹とセンターバックを組むと目されていた。その理由は、ファーストレグの浦和がアル・ヒラルに自身の左サイドを激しく攻略されたからだ。左サイドバックの宇賀神友弥は対面の右サイドバック・モハンメド・アルブライクのオーバーラップに手こずり、そのエリアから供給されたクロスがハルビンの同点ゴールに繋がった事実もある。そこで第2戦では本職のマウリシオをセンターに据え、第1戦でCBを務めた槙野智章を本来の左サイドバックにシフトさせることで守備組織を整えるのが肝要だと思われた。しかし堀監督は結局バックラインの陣容を変更しなかった。指揮官は試合後、はっきりとその意図を述べている。

「前回の対戦で我々の左サイドをやられたと話をされるんですけども、個人的な部分でやられたというよりも、チーム全体の戦い方の上で、攻撃への姿勢が緩かったことで、最終的にはあそこ(左サイド)に歪みがいっていた。そう感じていまして、それに対してボールの出所をしっかり抑えていこうということで、今日のような戦い方にしました」

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