浦和レッズ2017シーズン総括4『急失速の時期』

大宮戦から見えた変調

 Jリーグ第4節のヴィッセル神戸戦のハーフタイムでミハイロ・ペトロヴィッチ監督の叱咤を受けたチームは3-1で試合を制し、続く第5節のベガルタ仙台戦では7-0の大勝を果たした。仙台戦のスコアは今季の最大得点差で、興梠慎三のハットトリックに加えて李忠成、武藤雄樹の『KLM』揃い踏み。そして柏木陽介、オウンゴールと、相手をまったく寄せ付けない圧巻のゲーム内容だった。スタメンでピッチに立ったのはGK西川周作、リベロ・遠藤航、ストッパー・槙野智章&森脇良太、ダブルボランチ・阿部勇樹&柏木、右サイドアタッカー・関根貴大、左サイドアタッカー・宇賀神友弥、ダブルシャドー・武藤&李、1トップ・興梠。ラファエル・シルバは負傷欠場していて、個人的には今試合の先発メンバーが序盤戦のベストと言える陣容で、攻守両面のチームバランスが最適に保たれていたように思う。

 一方、AFCアジア・チャンピオンズリーグではJリーグほどに対戦相手が浦和対策を施さないため、ラファエルのような個人スキルの高い選手が活躍する機会が増えた。仙台戦の翌戦となったグループステージ第4節、ホームでの上海上港(中国)とのリターンマッチではラファエルの決勝ゴールで勝利し、続く第5節のウェスタン・シドニー・ワンダラーズ戦を6-1(浦和の得点者はラファエル②、関根、ズラタン、李、興梠)で制して決勝トーナメント進出を決めたチームは、この時点で今季のピークを迎えた。ペトロヴィッチ監督が標榜したアグレッシブなスタイルがようやく浸透し、守備の懸念を圧倒的な攻撃で押し切る覚悟も芽生えたように見えた。しかし、それは表面的な事象に過ぎず、チームは徐々に困難な状況へと追い込まれていく。

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